日記2024/01/06 新幹線

 成人式に伴って行われる同窓会の日付を間違えていた。具体的には、7日だと思っていたら6日だった。やあやあ我こそは大貴族東京人様様であるぞといって悠々と帰省するつもりだったのだが、大慌てで早起きして新幹線に飛び乗る羽目になる。爪も髪も髭も手入れ不足だし、寝てないアピールがここで挟まる。
 なぜ7日だと思い込んでいたのかはわからない。成人式が8日だからその前日にきまっているということだろうか。そんなことはどうでもよく、気がつけたので幸運だった。そうでなければ行ってもない会のために安くない参加料を請求される羽目になるところだったのだから。確認を怠るのは悪癖だが、直前になって確認することは一応できているので上々だ。

 「三連休の初日だから混むだろう」と警告を受けていたが新幹線の自由席は空いている。富士山側、ふたりがけの席の窓側にひとりずつ詰まっている程度であって、富士山は見たかったが観念して太平洋側、3人がけの席の、これまた窓側に陣取った。
 去年の終わりごろ、部屋の中にあるにもかかわらず未読だった本を積み上げ「読むべき本」として30冊くらい列挙した。たったの30冊か、おれは1000冊積んでいるぞ、とか、おまえが今までの人生で読んできた本の総数はいまおれが積んでいる冊数より少ない、とか、大学の連中にはいろいろ言われるのであり、退学の機運が高まる。本屋なんぞに行く機会が月に一回より多く生じるようになったのは上京してからだ。「小5から積んでいる本がある」というが、それはもう漬物石と変わらないのではないか。と書いてみるけれども、漬物石ってなんなのかよく知らない。

 なんの話だ。新幹線の中で、件のリストの22番『プロローグ』を読み始めたという話だ。これ以外だと9番『死』を読んでいる途中である。(それだけか。ペースが悪い!)
 移動中は『死』を読むつもりだったが、たやすく即死できるくらいの運動エネルギーをその身に蓄えた状態で読むのはなんだか気が引けたので、円城塔を引っ張り出してきたのだ。
 小説ということだがあまり小説然とはしていなくてエッセイ集とか旅行記とかいったほうが近い気がする。私小説デアルと書いてあった。じゃあ私小説だろ。

 本文中で、歴代の勅撰和歌集が列挙されていた。けっこう多い。20以上あるそうだ。いま令和の世に新しく勅撰和歌集を作ってもいいのではないか。ことあるごとに大仏を作れ大仏を作れと言って喜んでいる連中は多いが、勅撰和歌集を作れといっている奴はそれに比べてさほど多くはなかろう。大仏と違って、現代では一切作られていないのだから、よほど望む価値がある。
 しかし現代に勅撰和歌集を作るとすれば、選定するのは宮内庁の職員だろうか?

宮内庁が選ぶ! 令和のすぐれた文化!


……なんか嫌だな。

 ここ、何駅だ、と思って、窓の外を見ると、河合塾が見えた。名古屋駅だった。
 ここ、何駅だ、と思って、窓の外を見ると、駿台が見えた。京都駅だった。
 なんか嫌だな。

 同窓会に行くと知らん奴がいっぱいいてウケた。知ってるヤツはだいたい変わりなさそうでよかった。友人がすっげーオシャレイケメンになってたのはちょっと悔しかった。
 終わったあと二次会と称してあることないこと延々喋り散らかす会をやり、深夜の電車で怪談を語るなどの迷惑行為を行なって解散した。

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