隅田有『クロッシング』:永遠の「よそ者」のためのパスポート
昨年、雑誌「びーぐる」31号の「土地の詩学」特集で、僕は隅田有の詩について次のように書いた。
この文章の最後を、私が読んだ限りもっとも新しいタイプの「地名詩」であると思われる作品で締めくくろう。隅田有の「ナリヒラ」である。その冒頭部分。
肉襦袢のような気泡緩衝材 もしくはプチプチ
好きなだけ潰しなさいって陽気にお前
いっこ潰しては雨上がりの白玉
またいっこ潰してはサクランボゼリー
次々と発送されるコンテナは
ネットワークを経由してほぼ正確に投下される
僅かに逸れて川に落ち