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会社の持続的な成長のために、人事としてできること:あるべき組織の可視化のすすめ

前回記事

前回お伝えした通り、人事におけるポジション管理の目的の1つに、「あるべき組織の可視化」というものがあります。
今回は「あるべき組織化」の方法について説明します。

①3年後のあるべき組織について考えてみる

まずは、会社の3年後のあるべき組織について考えてみましょう。
スタートアップや変化の激しい業界においては、1年後のあるべき組織について考えてみてもよいと思います。

その際のポイントは中期経営計画(中計)などから、会社の今後の戦略や実行施策を理解し、それを反映させることです。

旅行業であるA社(架空の会社)を例にして考えてみます。

この会社では、旅行のパッケージツアーを会社で企画したうえで、それを新聞広告やWEB広告、店頭などを通じて、販売するビジネスが会社の売り上げの大半でした。
それに伴い、多くの人がツアーに目を触れ・興味を持ってもらえるように仕掛けるマーケティング職や大衆受けするツアーの企画職が会社にとっていわば頭脳となる最も重要な職種でした。
また、会社で1番人員数が多い、コールセンターや店頭でお客様を対応する接客職に関しては、お客様への接客対応・ミスない対応が最重要視されていました。

ただし、インターネットの普及により、これまでパッケージツアーを利用していたお客さんも、次第に個人手配をするようになりました。
「ハワイ旅行素泊まり8日間」といったツアーは、個人で飛行機・ホテルの手配できてしまい、売り上げが減少。

A社は、この状況を考慮し、今後は「オーダーメイドツアー」に注力すると戦略を転換。
具体的には、「1歳の子供でも楽しめるハワイ旅行」「おじいちゃん・おばあちゃんといくニューヨーク旅」など、お客さんの要望に沿った旅行を提案するというもの。
また、店頭での販売のみならず、チャットやZoomなどを使用したオンラインでの販売を増やすという戦略に転換しました。

このことにより、会社としては多くの人がツアーに目を触れ・興味を持ってもらえるように仕掛けるマーケティング職や大衆受けするツアーの企画職というよりも、お客様の要望を聞き取り、提案できるようなコンシェルジュ職や、様々な要望に応えられるよう、リサーチし、自社の取引先を増やす営業職が重要視されるようになりました。

A社の場合、現在は接客職にリソースを割いていましたが、数年かけてこの接客職を、コンシェルジェ職に転換。
また、マーケティング職・企画職よりも営業職やリサーチ職に重きをおくようになりました。
そのことにより、会社の組織や人員配置も中長期的には変わるように。
そういったことをベースに、組織を書いてみましょう。

②あるべき姿と現在の組織を比較してみよう

①であるべき組織の可視化をしてみたら、現在の組織とのギャップを見てみましょう。
例えば、接客職ではなく、コンシェルジェ職に転換する場合、求められるスキルはどのように異なってくるのか?
コンシェルジェ職への転換に向けて、どのような育成をしていくべきなのか?
マーケティング職・企画職・営業職・リサーチ職の人数は、これからどうかわっていくのか?
営業職・リサーチ職に必要な要件はどのようなことなのか?どうやって人員調達していくのか?(育成しながら社内異動もしくは外部調達)

こういったことをみることで、人事として注力すべき事項が明確になっていきます。
まずは、組織の可視化により、会社の持続的な成長のために、人事としてできることを考えてみていくことが有効です。

次回の記事では、あるべき姿から逆算した時の、サクセッションプラン(後継者計画)についてお話していきます。

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