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会社の持続的な成長のために、人事としてできること:サクセッションプランの策定

前回の記事の続きとして、今回は「サクセッションプラン」のついて説明します。

サクセッションプランとは?

サクセッションプランとは、経営上、必要なポジションの候補者に対し、計画的に育成することをいいます。
2021年6月に株式会社東京証券取引所より発行されたのコーポレートガバナンスコードには、下記のように記載があります。
※コーポレートガバナンスコードとは、上場企業が行う企業統治(コーポレートガバナンス)において、ガイドラインとして参照すべき原則・指針を示したものになります。こちらはガイドラインであって、必須項目ではありません

4-1③ 取締役会は、会社の目指すところ(経営理念等)や具体的な経営戦略を踏まえ、最高経営責任者(CEO)等の後継者計画(プランニング)の策定・運用に主体的に関与するとともに、後継者候補の育成が十分な時間と資源をかけて計画的に行われていくよう、適切に監督を行うべきである。

補充原則 4-10① 上場会社が監査役会設置会社または監査等委員会設置会社であって、独立社外取締役が取締役会の過半数に達していない場合には、経営陣幹部・取締役の指名(後継者計画を含む)・報酬などに係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するため、取締役会の下に独立社外取締役を主要な構成員とする独立した指名委員会・報酬委員会を設置することにより、指名や報酬などの特に重要な事項に関する検討に当たり、ジェンダー等の多様性やスキルの観点を含め、これらの委員会の適切な関与・助言を得るべきである。 特に、プライム市場上場会社は、各委員会の構成員の過半数を独立社外取締役とすることを基本とし、その委員会構成の独立性に関する考え方・権限・役割 等を開示すべきである。

すなわち、上場企業においては、
・重要ポジションの後継者計画を策定し、時間をかけて育成すること
・指名委員会や報酬委員会を設置した場合は、委員会のメンバーより、経営陣幹部・取締役の指名(後継者計画を含む)の関与・助言を得ること
がガイドラインとして求められています。

サクセッションプランをどのように導入すればよい?

とはいえ、サクセッションプランを始めるとなると、始め方に悩むもの。
今日は比較的手軽に進められるサクセッションプランの方法について解説をします。

①経営上必要なポジションを明確にする

まずは、経営上必要なポジションを洗い出してみましょう。
必ずしも、社長や本部長などの上位層でなくとも、構いません。
「一般水準の10倍速くコードが書けるスーパープログラマー」などが会社の重要ポジションの1つになる可能性もあります。

②経営上必要なポジションに必要な要件を明確にする

①が終わったら、経営上必要なポジションのミッションや業務内容、必要なスキル・コンピテンシーなどを洗い出してみましょう。
そうです、ここでジョブディスクリプションを作る必要が出てきます。

③経営上必要なポジションの候補者となりうる人材を選出する

②の後、候補者を選出しましょう。
これから育成していくわけですから、すべての要件を満たさなくて、大丈夫です。
企画畑で戦略や理論的な話はできるものの、実際の営業活動やオペレーション部分は未経験な社員、逆にパフォーマンスはピカイチだけどピープルマネジメントはまだ改善の余地がある社員、など様々な候補者が出てくる場合がありますが、そこは経営層で、すり合わせをしながら候補者を選出していくと、必要要件がブラッシュアップされます。

また、会社によっては、アメリカのゼネラル・エレクトリック社により考案された9BOXという手法を使い、管理することもあります。

④候補者に必要なスキル・経験などを洗い出し、それらを意識した業務をアサインする

③ができたら、②を照らし合わせながら、その候補者にはどのようなスキルや経験が足りないのか、洗い出してみましょう。
例えば、先ほどの企画畑の社員の場合、あえて営業を経験させることで、現場を知ることができ、新たなインサイトを得られるかもしれません。
また、ピープルマネジメントが苦手な社員に関しては、コーチングなどを導入することで、改善が期待できるかもしれません。

なお、業務アサインにあたっては、
A)本人に後継者候補である旨を伝え、業務をアサインする場合
B)途中で後継候補者でなくなるリスクもあるから、後継候補者であることは伝えず、業務をアサインする場合
の2つがあります。
B)の場合であっても、職種をまたぐ異動や転勤の場合は、リテンションリスクも踏まえ、リーズナブルな業務アサインの背景をお伝えすることを推奨します。

⑤定期的に育成状況をモニタリングする

④まで回したら、定期的に育成状況を確認しましょう。
予定通り育成が進んでいるか、ビハインドか、はたまた期待外れだったかなど、確認します。
なお、少なくとも半年に1回はモニタリングすることがおすすめです。

もし、期待外れ、もしくは新たな候補者が出た場合は、候補者を入れ替えても構いません。
また、この機会に育成施策に関しても、内容を更新してもよいと思います。

いかがでしたでしょうか?少しでもサクセッションプランのイメージが湧きましたら幸いです。


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