リスキリングとは?実際に企業はどのようなことをすればよいの?
2022年10月3日の秋の臨時国会の所信表明演説にて、岸田文雄首相より、「リスキリング」の支援に今後5年間で1兆円の予算を投じる方針を示しました(出所:日本経済新聞)
また、2020年のダボス会議でも、『リスキリング革命(Reskilling Revolution)』が発表され、2030年までに10億人により良い教育、スキル、仕事を提供するというイニシアチブのプラットフォームが構築されることが発表されています(出所:日本能率協会)
今回はリスキリングについてお話しします。
リスキリングとは?
そもそも、リスキリングとは何でしょうか?
リクルートワークス研究所は、リスキリングを下記のように定義しています。
昨今、テクノロジーの発展や社会情勢の変化が激しいため、同じ職業においても求められるスキルが変わることがあります。
例えば、ソフトバンクでは、過去、エントリーシート(以下、ES)をすべて人間の目で確認していたようですが、AIのワトソンに過去「合格したES」と「不合格だったES」を1500件分学習させたところ、ワトソンの合否判断は採用スタッフの合否判断とほぼ同じになったため、ワトソンにESの判断をしてもらっているようです。
それにより、ES処理に掛かる時間を75%も削減することができたそうです。
(なお、ワトソンが「不合格」にしたESは、必ずスタッフが再度目を通しますので、ワトソンのみが判断するわけではないそうです)
そうなると、仮にこれまでESを読み込み、判断することだけが仕事だった人がいた場合、その人の仕事がなくなってしまいます。
その場合、その人は以下の選択肢を取らざるを得なくなります。
①新しい会社に今の仕事で(ESの読み込み・合否に関してまだ自動化できていない他社)に就く
②今の会社で新しい仕事を行う
ちなみに、ソフトバンクはES処理で削減した時間を、重要な内定者のフォローなどのコミュニケーションの部分に割くようになったとのことです。
そのため、その業務を行なっていた方は、学生とコミュニケーションを行い、会社の魅力を訴求できるようなスキルが新たに必要になります。
このように、テクノロジーの変化などに伴い、人々に求められるスキルは異なってきます。
具体的に企業はどのようなことをすればいいの?他社事例を紹介!
では実際に企業としてリスキリングを社員に促すためにはどのようにすればよいのでしょうか?
いくつか事例をピックアップしてみます。
①富士通
「デジタルトランスフォーメーション(DX)企業」への転換を目指している富士通では、国内グループ全8万人のリスキリングを実施すると発表しています。
必須研修はないものの、毎月の上司との1対1のミーティングで上司から足りないスキルや資格を助言し、それをもとに社員が自発的に研修や学習をしているそうです(出所:日本経済新聞)
②SOMPOホールディングス
SOMPOホールディングスでは、2021~2023年度の新中期経営計画の新中計 の3つの柱の一部に「DXによる新たなビジネスの創出」と、「デジタルによる組織・業務プロセスの変革」を掲げています。
そのために、DX人材の育成として、2021年度の統合レポートにて下記のように目標値を定めています。
目標達成に向け、DXの研修を整えることはもちろんのこと、参加募集型のオープン研修を用意し、社内での相互研鑽の機会も増やしながら、自己研鑽の機会を増やしているそうです。
また、様々な環境の社員が受講しやすいよう、WEB会議システムを活用したオンラインによる研修も拡充しているとのこと。(出所:SOMPOホールディングスHP)
いかがでしょうか?
まずは、ご紹介した富士通や、SOMPOホールディングスのように、
1)会社の今後の戦略を考えたうえで、
2)会社にとって必要なスキル、そしてなくなっていくスキルを棚卸し、
3)必要なスキルを社員に習得してもらう仕組みづくりを考えることが、
効果的だと思われます。
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