キンマwebの越山監督ロングインタビューにあったトライアウト筆記試験の問題を解いてみた【赤坂ドリブンズ】

キンマwebにこんな記事が出ていたので、気になって開いてみました。

中身としてはMリーグ・赤坂ドリブンズの監督である越山監督が、これまでのチームの分析や、村上淳・丸山奏子の2選手を入れ替えとした理由、今後の展望などを話しているインタビュー記事で、非常に(interestingの意味で)面白かったです。

その中で、ドリブンズが今度のドラフトで獲る女流選手の候補を絞るために実施したトライアウトの筆記試験の問題の一部が明かされていて、それが理系心をちょっとくすぐるようなものだったので実際に解いてみました。
記事によれば、(おそらく)全ての問題は今後ドリブンズのホームページに公開されるようなので、その時は全部解いてみようと思います。


前置き:自分の麻雀力と理系力について

麻雀歴:多分3年くらい
麻雀を始めたきっかけ:某にじさんじライバーが麻雀をやり始めたのでそれを理解するため
どこでプレイしているか:『雀魂』のみ。リアル麻雀経験0
プレイ頻度:超まったり。やって1日2半荘。やらない日も多い。
雀魂ランク:雀傑3

理系力の指標:某「ロボ」と同じ大学の工学部および理学部に受かっています。


問題1:点数期待値

●あなたは西家で今河底を打牌するところです。
危険牌の3索を切れば確実にテンパイ料を得ることができます。
・北家が仕掛けていて打点はほぼ8000点ですが8回に1回は12000点ありそうです。
・東家と南家は確実にノーテンだとします。
・局収支のみで判断します。
3索の放銃率が何%以下であればテンパイを取ったほうが良いですか?


なんと麻雀初心者わい、「局収支」がわからない!
・・・調べたのですが、おそらく自身の点数変化のことで、他家の点数変化は考慮しないっぽいので、そうだとした上で考えました。


この問題を読み替えると、「3索を切っても切らなくても点数期待値が変わらないのは、3索の放銃率が何%の時ですか?」となります。

3索が当たる確率をpと置いた時、当たらない確率は(1-p)。
北家の打点は「8000点以上確定」とは明記はしていないですが、書き方的に8回に1回が12000、他(要は8回に7回)は8000であるとします。
すると、この状況における北家の打点の期待値は、
 12000 × 1/8 + 8000 × 7/8 = 8500
となります。
3索を打って当たらなかった場合、2人聴牌で聴牌料1500を貰えることになるので、3索を切った場合の局収支の期待値は、
 -8500 × p + 1500 × (1 - p) = 1500 - 10000p
となります。

ここで、
 1500 - 10000p = 0
を解いて答えは15%
・・・とするのはおっちょこちょいさんがしがちな誤答かと思われます。気持ちはわかる。

実際はもう1段階、3索を切らなかった場合に北家の1人聴牌になるため自分がノー聴罰符で1000点失うことを考慮に入れないといけません。
従って、解くべき方程式は
1500 - 10000p = -1000
なので、これを解いて、p = 0.25。
よって答えは25%

これは正解である自信があります。


問題2:両面ダブリーのツモ確率

●親がリャンメン待ちでダブルリーチをかけたとき、最終18巡目までにツモれる確率は何パーセントか。

これ、待ち牌を自分で何枚使っているかで確率は当然変わってくると思うのですが、そこに対しては何も記載がないので、待ち牌は自分の手で1枚も使っていないものと仮定しました。
(「n枚使っている」として計算することは可能ですが、それだと変数nを答えから消去することはできず、「リャンメン待ち」という条件指定をした意味が薄くなると判断し、このような仮定をしました。)

よって求める確率(Pとおく)は、
親がリャンメン待ちでダブルリーチをかけたとき、最終18巡目までのツモ牌に待ち牌2種8枚が1枚でも含まれる確率は何パーセントか
となります。

確率問題に自信ニキならこの時点でピンと来ると思いますが、この手の確率を求める時には余事象を使うのがベストです。
それは何故か、そもそも余事象とは何か、については書いていると文章が長くなってしまうので今回は省略します。中学受験するなら小学生でも知っているレベルの知識ですので、数学どころか算数もサボってきてわかんな〜いって人は頑張ってググってお勉強し直してくださ〜い。

今回の状況だと、余事象は、
「(前略)、最終18巡目までのツモ牌に待ち牌2種8枚が1枚も含まれない
になり、この余事象が起こる確率をP'とおいて求めて、最終的に
P = 1 - P'
を求めればいいことになります。

ダブリー時点で、手牌は13枚で、リーチ宣言牌が1枚(なおこれも待ち牌ではないものとする、というか待ち牌だったら天和で和了しないわけがない)。
麻雀牌は全部で136枚ですが、この計14枚を除外して、今後ツモる17牌に該当する可能性がある牌は122枚ということになります。で、この122枚がツモ17牌に該当する確率は同様に確からしいです。
また、ドラ表示牌も見えている牌ではありますが、詳しく書くと長くなるので割愛しますが、それが待ち牌であろうがなかろうがツモ和了確率に影響を与えないため、除外しないことにします(他の王牌と同じ扱いをします)。

よって、この122枚から18巡目までにツモる牌17枚に、待ち牌2種8枚が1枚も含まれない確率P'は、
 P'  = (122 - 8)C17 / 122C17 (※Cはコンビネーション)
         = 114C17 / 122C17
         = 105*104*103*102*101*100*99*98 /            122*121*120*119*118*117*116*115

だっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっる!!!!!

こんなもん筆記で出すな!
時間制限のある試験なら自分なら後回しにします。

ク◯怠いのでPythonでコード組んで計算させたら
 P' = 7646205/26405863
    P = 1 - P' = 18759658/26405863 = 0.710…
よって求める確率は 約71パーセント

本当にこんな問題出したんか・・・?

自分がここで考えた可能性は3つ。

  1. 最後まで計算せず「{1 - (114C17 / 122C17)} * 100 パーセント」という解答で許される。

  2. これは「論理的思考力を試す筆記試験」ではなく「麻雀の筆記試験」の方(記事参照)で出されていて、計算させて解かせる問題ではなく、感覚で答えさせてそれが実際の確率にどれだけ近いかを見る問題である。

  3. 自分の解答が間違っている

真相やいかに・・・


問題3:せめて10円玉を使え

●5円玉と1円玉だけを使って100円を支払えるパターンは何通りあるか。

せめて10円玉を使え。

真面目に解くのなら、これは5円玉を何枚使って払うかで考えればいい。
「5円玉0枚、1円玉100枚」〜「5円玉20枚、1円玉0枚」
21通り


問題4:2345待ちってなんすか(麻雀初心者並感想)

●2345待ちを全部書いてください。

・・・?

これって、2345の4面張になる場合の、待ちに関係する塔子順子対子刻子のパターンを全て書けってことでいいんですかね?

数十分かけて思いついたのが
3344555, 2223344
3444555, 2223334
この4パターン。
とはいえ上下ともに左は右の対象形なので実質2パターン。

これが全部である確証はどこにもないです。
麻雀初心者には厳しい問題。


問題5:競技性

●知人と麻雀中に、「リーチをかけたので他家の手牌を覗いてもよいか」とたずねられました。
この「リーチ後に他家の手牌を覗く」という行為が競技性を損なう理由を論理的に述べてください。

思いついた解答を書き連ねていく。

  • 他家の手牌がロン見逃しの判断基準になってしまうから。例えばある他家Aからのロン和了よりもツモ和了の方が嬉しい場面において、他家の手牌を覗くことで立直者は「待ち牌が山に何枚あるか」という本来知り得ない情報を知ることができ、Aから待ち牌が打たれた場合に、その後に自らツモる確率と照らし合わせて、見逃すかどうかの判断が本来出来ないレベルで出来てしまうため、競技性が損なわれると言える。

  • 他家の手牌が暗槓の判断基準になってしまうから。立直者が牌を暗刻で持っていた上で、4枚目をツモった場合に、他家に鳴かれたくないから暗槓する、または他家の当たり牌だから暗槓する、といった判断が本来出来ないレベルで出来てしまうため、競技性が損なわれると言える。また、これを他家から指摘された場合に「暗刻で持っている牌はないから大丈夫」などと言ってしまうと、他家に「立直者は同じ牌を3枚持っていない可能性が高い(0ではない)」という情報を与え、手組み判断が本来出来ないレベルで可能になるため、そういった面でも競技性が損なわれると言える。

  • 他家の手牌が他家の判断基準を分析する情報になってしまうから。立直者の河状況に対する他家の手組みが見えると、そこから「この人は他家の聴牌が分かっていてもこのくらいの点数の手では押す」「この人は他家が立直してきたらこのくらいの点数の手でも引く」というような、他家の手組みの判断基準を分析する情報になってしまい、他家の手牌を見た立直者は次局以降にその分析を活かし、本来出来ないレベルでの判断をすることができてしまうため、競技性が損なわれると言える。

こんな感じかな。

問題6:友人はモンティ・ホール

●友人のMさんがカレーを3皿作ってきました。A・B・Cのひとつのカレーは激辛です。あなたがAの皿を選ぶとMさんはBを美味しそうに食べ始めました。そしてあなたにCの皿を選び直して良いよと言ってきます。激辛を食べたくないあなたはどうすればよいでしょうか?
①Aのまま
②Cに変える
③どちらも同じ

確率の超有名問題。
人の作為的な行動と確率の関係性を上手く利用した良い問題です。

「モンティ・ホール問題」でググってもらえれば解説がわんさか出てくるであろうため、ここでは解答だけ記すことにします。

解答:④友人の首根っこ掴んで、どれが辛くないカレーかを吐かせる

・・・嘘です。友人が激辛好きの変態でない限り、答えはです。
Aが激辛である確率は1/3で、Cが激辛である確率は2/3です。


以上。面白かったです。

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