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隠れ家の不良美少女 18 希和のお願い

土曜になってガレージハウスへやって来た。
希和はすでに玄関の前で待っている。
「早いな……」
「友希さんおはよう」笑顔は可愛いが若干暑苦しさを感じる。
とりあえず中に入ってコーヒーを入れた。
「これ………高卒認定のテキスト」そう言って買ってきた本を渡す。
「有難う……」そう言ってパラパラとめくると眉を寄せて難しそうな表情だ。
「まずは目次をしっかり見て計画を立てた方がいいぞ」
「どうして?」
「ゴールが分からないで走るのは辛いけど、ゴールが分かってたら少しずつ楽しくなってくからな」
「そうなんだ……やって見る」
「分からないところがあったら、教えてやるから頑張れ」
「うん」

希和はノートパソコンを引っ張り出して俺に見せた。
「ねえ友希さん、このゲームのキャラクターのコスプレをしたいんだけど」
「マリン戦士アクアか……」
「知ってるの?」
「なんとなく」
「衣装はお母さんが協力してくれるんだけど、剣と盾は作れないって」
「友希さん、作れない?」上目遣いで見てくる。
「お前……相変わらず厚かましいな」
「だって……頼れる人は友希さんしかいないんだもん」
「…………」
俺は工具のある部屋からスケールを出してきた。
「そこに立ってみな」
「うん」不思議そうに俺を見ている。
希和が剣と盾を持った事を仮定して、どのくらいの大きさで作れば良いか測定する。
メモを出して、簡単な剣と盾の絵を描きサイズを記入した。
それを見た希和は嬉しそうに俺を覗き込む。
「友希さん、作ってくれるんだ……嬉しい」突然抱きついてきた。
「むやみに抱きつくと作ってやんないぞ」
「はーい」すっと離れる。
「たく…………」調子の良さに呆れた。

「お前パソコン持ってたっけ?」
「ううん、新さんにもらった」
「このパソコン値段が高いやつだぞ」
「えっ……そうなの?」不安そうな顔になる。
「しっかりお礼を言ったか?」
「ありがとうって言ったけど………そんなに良いやつだとは思わなかった」
「しっかり感謝を伝えるんだぞ」
「分かった」
なんとなく希和がいる事が当たり前になって来ているような気がした。

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