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隠れ家の不良美少女 54 『キナコ』チャンネル

今週はキナコの編集の事で奏太くんから何度も連絡と確認があった。
そして金曜には編集された動画『ラプソディを君に』がキナコ専用チャンネルでアップされた。
コスプレのS N Sでも告知したので動画の再生回数は一挙に伸びて行く。

土曜になり、いつものように天空カフェに来ていた。
希和も朝から来ている。
新くんはノートパソコンで何度もキナコの動画を見ている。
「希和ちゃん、動画は良い仕上がりだねえ」
「はい、私じゃ無いみたい」他人事の様に希和は笑っている。
「そうだな、キナコだもんな」俺も笑った。
「友希くん、再生回数は40万回を超えたよ、それにS N Sのフォロワーも50万人を超えてきたね」
「この後どれくらい伸びるか楽しみだけど……」
「どうしたの?」新くんが俺の顔を除いた。
「いやあ……今後キナコがどう進んでいくのかも考えないとなあ……」俺は眉を寄せる。
「そうだね、この後が大変だよねえ」
「えっ?そうなの」希和は不思議そうに聞いた。

俺のスマホが鳴る。
『もしもし、奏太です、お疲れ様です』
「お疲れさまです」
『早速レコード会社から問い合わせが来たんですが、どうしましょう?』
「とりあえずしばらくは様子を見ようよ」
『了解です、じゃあ問い合わせの内容を聞いて後日返事ということにしておきます』
「よろしくお願いします」

希和と新くんは不思議そうに俺を見た。
「早速レコード会社から問い合わせが来たってさ」
「ええっ!」希和は驚いて何度も瞬きしている。
「早速来ましたか……」新くんは腕を組んで頷いている。

「希和、お前はこの後どうなりたい?」
「ええ?分かんない?」
「お前が将来どうやって生きていくかを、考えなくちゃあいけないな」
「希和は友希さんと一緒に生きていく」
「…………」俺は目を点にして頭をかく。
新くんは吹き出した。
「そうだね、希和ちゃんは友希くんが一緒ならそれでいいんだよね」
「うん、希和はそれでいい」頷いた。
「だから……そうじゃなくて……」

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