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隠れ家の不良美少女 43 お面のおせんべい

「ただいま」
「あら、お帰りなさい」お母さんが迎えてくれた。
「今日はお仕事は無いの?」
「今日は思ったより早く終わったのよ」
「じゃあ、友希さんからのお土産があるの、ほら、お煎餅食べようよ」
「あら、懐かしいお煎餅ね」
「知ってるの?」
「うん、昔良く貰ったわ」
「ふーん……」
「一瀬さんは福岡の出身なのね?」
「そうだよ、新さんは長崎の出身だからよく二人で方言で話してるよ」
「そうなの」
私はお煎餅を食べながら「よかよか」っと二人の真似をしてみる。
その途端お母さんがお煎餅を食べていた口を塞いでキッチンへ駆け込んだ。
「お母さん大丈夫?」心配になって追いかける。
お母さんはキッチンで少し泣いている様だった。
「ごめんね、もう大丈夫だから」
またリビングで二人でお煎餅を食べた。

「そう言えば友希さんが、私は九州と何か関係があるのかって聞いたなあ」
「そうなの……」
「前に来た時、お母さんがいつも聞いてるロブスターズの曲が聞こえたみたいで何となく思ったみたいよ」
「そう……」
「お母さんはロブスターズの衣装を作ったの?」
「えっ、どうしてそう思ったの?」
「だってメンバーと一緒に写った写真がお母さんの部屋にあったから」
「そうね、懐かしいわ、昔彼らの衣装を作ったわ」
「やっぱりそうか、お母さんは凄いなあ」
「そうかしら」
「凄いよ、友希さんも私のコスプレ衣装を見てプロ意識が高いって驚いていたわ」
「そう……」
「友希さんは今週はお休みなんだよ、だから毎日会いに行っちゃおう」
「希和は一瀬さんのことが大好きなのね」
「うん、だって私を不良にならないように守ってくれたもん」
「そうね、お母さんも感謝してるわ」

「私も一瀬さんにお礼が言いたいし、話したい事もあるから夕食でも一緒にって聞いてみて」
「うん、いいよ」三人でご飯食べれたら楽しいな。
「そうね、いつも二人だったものね」
お母さんは少し微笑んだ。


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