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恋するプリンとゆるルン密着旅 15 イジられ?

「ご飯ご飯…………」
リンはテーブルに置いてあるメニューを見ている。

俺はそんなリンを見て、色気より食い気の方が気が楽だと思った。

「私カツカレー!」

「じゃあオレはカレーでいいや、カツはいらない」

「そうなの?」

電話で注文すると、しばらくしてドアの横の小さな扉からカレーが届く。
早速食べようとすると、リンがカツを二切れおれのカレーの上に乗せてきた。

「何それ?」

「最近少しお腹が出て来てるような気がするから…………」

「オレに食えってか?」リンは無言で頷いている。

「じゃあカツを頼まなきゃいいじゃん!」

「でも……ちょっと食べたいし……」

「子供だなあ……」

俺の言葉にリンは頬を膨らした。しかし食べ始めると何事もなかったように満面の笑みで食べている。
カレーを残さず食べ終わると、今度は冷蔵庫からハイボールを出してくる。

「また呑むのか?」

「うん……」
嬉しそうだ。

「それで最後だぞ!」

「え……何で?」

「だってお前、それ以上飲んだらまた泣くだろう?」

「え…………」

「お前は泣いてスッキリするかもしれないけど、泣かれるとこっちが切なくなってくるんだよ」

「そうなの…………」

「だから、それで最後だ!」

「分かった……泣かなかったら一緒に寝てくれる?」

「ここじゃあ一緒に寝るしかないだろう」

「そうだよね……じゃあこれで最後にする」そう言って嬉しそうに飲んだ。

しばらくするとリンはノートパソコンを開いている。

「これっ…………」ライブ配信らしき動画を見せてくれた。

お酒を飲みながらの配信だ、初めは楽しそうに飲んでいる。そして様々なコメントに良いリアクションを返している。コメントの中にリンをイジるコメントがあると一際良いリアクションを返した。まるでキラキラと輝くような天然のリアクションだ。
そしてだんだん酔ってくると最後は大泣きして終了した。
どうやらそれがいつものパターンらしい。
そして多くのチップが集まった。

「なるほど…………お前『イジられ』なんだ」

「えっ、何それ?」

「イジられほど魅力が出る人の事さ」

「えっ、意味わかんない???」

「北海道出身で役者の小泉さんみたいな人の事だよ」

「あの天然パーマの人?」

「そうだよ、あの人はイジられるほど魅力が出るだろう?」

「よく分かんない…………?」

「分かんなくても良いよ、でもリンが何故人気があるか少し分かったような気がする」

「そうなんだ…………なんかよく分かんないけど…………」

「良いんだ!分かんなくて」

広いベッドに大の字になって思った。イジられか…………持って生まれた才能ってやつか…………そう思うとなんか楽しくなってきた。

リンはベッドに横になると添い寝をするようにしてこっちを見た。

「胸触っても良いよ…………」

「そう…………」

Tシャツの胸の先端あたりを爪の先でカサカサとイジった。

「え!……キャッ!!……変なことやめて」

「だって触って良いって言ったじゃん」

「そんな触りかたじゃなくて…………」

「プッ……ハハハ」こらえきれずに大笑いしてしまった。

「何で笑うの?」

「だってイジるのが楽しいからに決まってるだろう!」

「そんなのイヤ!!!」
思いっきり口を尖らせさらに膨れた。

「だから……そんなふうに良いリアクションをするから楽しいのさ」

「タクちゃんって意地悪ね!」

「リンがそうさせてるんだけどなあ…………」

「私そんな事望んでないもん!」

「望んでないかもしれないけど、イジってオーラが出てるぞ」

「え……どこから」

「全身から……」

「………………」

「まあ分からない方が良いリアクションになるから別に気にしなくていいよ」

「うー……うー……」

「犬みたいだぞ」

「ワンワン………」

オレの腕に噛みついた。

その夜リンは2回も迫って来る。キスをしようと迫ってきたので鼻の頭をベロッと舐めたらあわてて逃げた。後ろ向きでじわっと迫ってきたので首筋にフーッと息をかけたら「キャッ」と言って離れた。
しばらくすると寝息が聞こえたので安心して眠りについた。

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