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恋するプリンとゆるルン密着旅 35 バイト

「おはよう」リンは眠そうに目をこすりながらこっちを見ている。

「おはよう………イテテ」オレは起きあがると腰の痛みを手当てするようにさすった。

「リン、体は痛く無いのか?」

「うん、大丈夫だよ」

「何でオレだけ痛いんだろう?」

「分かんない」不思議そうにオレを見ている。

「まだキャンピングカーの生活に慣れていないのかなあ……結構時間も経ったのに」

とりあえず二人で日帰り温泉へ行くと、オレは湯船で身体をほぐす。
なんとなくスッキリした。
戻ってくると、リンはメイクしてプリンに変身している。
そして人形とビヤホールレストランへ向かう。
オレも撮影機材を持って後を追った。
準備が整い撮影が始まると、後はリンが一人で進めるので、少し離れて見守る。

「とっても雰囲気のいいお店だねえ、こんなとこで好きとか言われたら夢見心地になっちゃいそう」そう言って人形を抱きしめている。

かなりノリノリで撮影は無事終了した。

「タクちゃんが編集の時キュンキュンなるように頑張ったよ」

「そう………それはお疲れ様でした………」なんか少し複雑な気分だ。

RVパークを出ると琵琶湖へ向かって車を走らせる。
途中でコインランドリーに立ち寄り、溜まった洗濯物を洗った。またブラののれんが揺れることになった。
その夜は琵琶湖湖畔のキャンプ場で宿泊することにする。
雨が降り出してきたので夕食はコンビニ弁当で済ませ、オレは編集作業に専念した。
リンは編集作業から解放されてのんびりテレビを見ている。

「リン、テレビの音を少し小さくしてくれないか?」

「あっ、ごめんなさい」リンは慌てて音声をヘッドフォンに切り替えた。

リンの可愛さがより輝くように編集して10分ほどの動画が出来上がる。
アップするのは一週間ほど経ってからにした、すぐにアップするとストーカーに居場所が知れてしまう恐れがあるからだ。
ヘッドフォンを外したリンが声をかけてくる。

「ねえタクちゃん、明日も雨みたいだよ」テレビの天気予報を指さす。

「そうか……じゃあ明日一日中編集作業をやるか」

「いいの?」

「ああ、いいよ」

「ねえ………タクちゃん………」何か言いたげだ。

「何?」

「あのう………」

「何だよ?」

「タクちゃん、お金大丈夫?」

「何でだよ?」

「だってコンビニでお弁当買うときじーっと財布見てたから」

これまでガソリン代はリンが払っていたが、それ以外の食事代やホテル代などは割り勘だった。

「そうだなあ………かなり減ってはきてるな」

「やっぱりそうか……」

「私、ずっと思ってたんだけど、タクちゃんが運転とか編集とかいっぱい働いてくれてるから、バイト代を支払いたかったの」

「えっ、バイト代?」

「うん、だっていっぱい働いてもらってるもん」

「ふーん………そんなの払って大丈夫なのか?」

「うん」

「じゃあ、食事とかホテル代とかリンが払ってくれるなら助かるけど」

「いいよ、これからは私が全部支払うよ」

「それでいいのか?」

「いいよ、もちろん」

「じゃあ今後リンのことを社長って呼ぶよ」

「それは嫌よ、今までと同じでいい!」

「わかりました社長!!」

「もう!」リンは頬を膨らました。

これまで使っていたお金は実家のカフェでアルバイトして溜めたものだ、母親は他のアルバイトの子達と同じ待遇で支払ってくれた。
父親からはカードを渡され『困ったら使え』そう言われていたが、流石にカードには手をつけなくなかった。
そして今度はリンにバイトさせてもらうのだ、どうしても自立できてない感が否めない気がした。

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