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隠れ家の不良美少女 127 約束

翌日俺と希和は本庄早稲田駅へ迎えに来た。
改札を出てきた原友里香さんへニッコリ手を振る。
「お久しぶりです友里香さん」
「お久しぶり友希くん、それから彼女さん?」
「こんにちは、相沢希和子です」希和はお辞儀した。
「確か……ドームでお会いしたような…………」
「えっ?覚えてたんですか?」希和は驚いた。
「ええ、可愛いから覚えてましたよキナコちゃん」
「あ……ありがとうございます……」
「桜に少し似てたからね」友里香さんは微笑んだ。
「本当ですか?」希和は大きく瞬きしている。
「どうぞこちらへ」車へ案内する。
KKステージオフィスへは近いので直ぐに到着した。

オフィスのデザインルームへ案内する。希和がコーヒーを用意した。
「突然仕事をお願いしてすみません」俺は頭を下げる。
「コロナで仕事減っちゃったから助かったよ」笑った。
「しかもかなり大変なんですよ、内容や進行も」
「期待に応えられるように頑張るわ」
「ありがとうございます」
「キナコちゃんも出るんでしょう?」
「はい、新郎新婦には大変お世話になってるので」
「そうなんだ」
「キナコちゃんの活躍は知ってるわよ、今大人気ね」
「えっ?見てくれたんですか?」
「桜との約束があるからね」
「えっ?約束?」不思議そうな顔で友里香さんを見た。
「そうよ、友希くんが幸せになるのを見届ける約束なの」
「そうなんだ………」希和は何度も首を縦に振った。
「でも、もう大丈夫そうね」ニッコリ微笑んだ。
「友里香さん、もう良いでしょう?」俺は眉を寄せ頭をかいた。

希美子さんと美奈さんが入って来る。
「初めまして、相沢希美子です、希和の母です」
「デザインを担当してます島田美奈です」
二人は会釈した。
「初めまして、MCをやってます原友里香です、衣装まで作って頂けるなんて嬉しいです」お辞儀した。

「こちらこそ、時間が無いのに無理を言ってすみません」俺は手を合わせる。
「早速なんですが、こんな感じは如何ですか?」美奈さんがデザイン画を5枚ほど広げた。
「おお〜!とっても素敵ですね」友里香さんはニッコリ見回す。
「どれも良いわあ〜、友希くんどれが良いかなあ」俺を見た。
俺は一枚を指差す。
「これなんか良い感じで似合うと思いますよ」
「そお〜、若過ぎない?」
「そんな事ないです、エレガントですう」希和が覗き込んだ。

しばらく考えて「やっぱりその衣装をお願いしようかな?」俺を見た。
「絶対似合いますよ」俺は何度も頷く。
希和も頷いた。
「じゃあこのまま採寸させて頂きますね」希美子さんがメジャーを持って友里香を試着室へ連れて行った。

「ねえ、希和は桜子さんに似てるの?」
「ぜんぜん似てない!」
「そうなの?」頬を膨らす。

しばらくして友里香さんが戻って来た。
「友希さんが桜子さんには似てないって」口を尖らせて希和が言った。
「それは友希くんが照れてるだけよ、笑顔は特に似てるわよ」友里香さんが微笑んだ。
「本当ですか?」希和は嬉しそうに友里香さんに擦り寄った。
「友希くん、早く二人で幸せになってね、天国にいる桜の為にも」
「はい、………」

希和と二人また友里香さんを本庄早稲田駅まで送る。
「じゃあ、台本ができたら送ってね」
「了解です」
友里香さんはエスカレーターで上がりながら嬉しそうに手を振った。

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