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Dear slave 親愛なる奴隷様 Loveですぅ! 第19話 ミニスカートをめくる仕事!

 熱い日がジリジリと音を立てて続く、蝉の声が青空に響き渡る、心まで汗ばみそうだと思った。
 もうすぐ夏休みがやってくる。休みなのは嬉しいけど、茉白ちゃんと会えないのは少し、いやかなり寂しい。

 琴音さんから夏休みの土日は空けておくように命令されている。一体なんだろう?不安がよぎる。
夏休みの最初の日曜に朝から僕は叩き起こされ、お大きなリュックを背負わされた。

「さあ、行くわよ!」気合いの入った琴音さんは眉を寄せ唇を窄ませる。

 僕は大きなリュックを背負ってバイクの後ろで蝉になる。

「今日は埼玉のバイクイベントに出るのよ、写真撮影とか色々あるから星七は私の付き人として頑張ってね!」

 ヘルメットの中に琴音さんの声が響く。この音量はもう少し小さくならないのかなあ………ふと思う。

「あのう………付き人って何をしたらいいんですか?」

「私のお世話をするだけだから大丈夫、心配ない!」琴音さんはバイクのスピードを上げた。

 広いイベント会場に到着した。朝早いのにたくさんの人が忙しそうに準備している。琴音さんは本部テントと書かれた場所へ入っていった。僕はトコトコとついて行く。

「おはようございます玲司さん」琴音さんが挨拶した。

 この人はいつかマンションまで送ってくれた人だ。とても爽やかで大人の感じがした。

「イトコの星七です、今日は私の付き人で来てもらってます」紹介される。

 僕はペコリと頭を下げた。

「星七くん、今日はよろしくね」爽やかな笑顔で微笑んだ。

「ミコトちゃん、控え室はそこのテントだから早速準備して」

「はい」琴音さんはコクリと頷くと僕を引っ張ってテントへ向かった。

「あのう………ミコトさんって?」

「ああ、私の名前はミコトなの、雑誌読んでなかったの?付き人の時はミコトって呼んでね」

「は、はい」僕はただ頷く。

 テントの中で着替えた琴音さんはミコトさんになった。

「ねえ、後ろを見て」ミコトさんは後ろを向いた。

「えっ………………」

「パンツのラインとか見えてない?」

 着替えたコスチュームらしき服のお尻のラインを気にしているようだ。僕は見たままを伝える。

「パンツのラインは見えてません」

「そう、大丈夫ね」

「いつもパンツとブラでいる人が、なんでパンツのラインなんか気にするんですか?」

「ラインが見えたらはしたないでしょう、私ははしたないことは許せないの!」唇に力が入る。

「えっ?」質問の意味と何か違ってる気がした。

「このポーチを腰に付けて、メイク道具とか入ってるから。私が呼んだら直ぐに来て手鏡を出してね、確認するから」

「はい、わかりました」どうやらいつものように従うしか道はなさそうだ。

 琴音さん、いやミコトさんはあちこちのテントの前でポーズをとっている。

 玲司さんが「笑って」そう言いながら高価そうなカメラを向けて撮影している。しばらくすると僕が呼ばれた。

 ミコトさんは手鏡を受け取って確認すると、今度は様々なタイプのバイクの横に立ちポーズをとっている。

 イベントの後半にはじゃんけん大会があり、同じようなコスチュームのお姉さんたちとステージを盛り上げている。イベントのクライマックスには一人の綺麗な女の人が出てきてインタビューを受けている。ミコトさんは唇を噛み締めながらその状況を睨むように見ている。イベントが終了すると帰り道にミコトさんは琴音さんへ戻った。

「イベントの最後に出てきた女の人を見た?」

「はい、綺麗な人でしたね」僕は何となく思い出して答えた。

「私よりも綺麗だった?」少し不機嫌そうだ。

「そんな事はないです、ミコトさんも綺麗でした」僕は圧力に負けて無難な返事を返す。

「だよね、私負けてないよね?」少しだけ落ち着いたようだ。

 しかしマンションに帰っても琴音さんは少し悔しそうだ。

「別に気にしなくてもいいんじゃないですか?」何となく言葉を漏らす。

「負けたらダメなの!」見たことのない強い視線と表情で僕を睨んでいる。

「そうなんですか?」僕は返す言葉を持っていない。

 どうやら琴音さんは負けず嫌いだったようだ。え〜、今頃そんなキャラを出してくるの?

「どうしたらあの人に勝てるかなあ………」ソファーにもたれて天井を見ている。

 僕の出る幕はないと思い、部屋へ退散しようと思いコソコソと逃げ出す。

「ヤホー!勝てるにはどうしたらいいの!」強烈なフリが背中に突き刺さる。

「検索します」僕は仕方なくパッドを出して人気のガールズバイカーを検索した。短い動画が表示されたので見てみる。

そこにはミニスカートで走るバイクの動画が映し出された。

「ヤホー!」琴音さんの声がリビングに響き渡る。

「検索したらこんなものが出て来ました」僕はパッドを差し出す。

 動画を食い入るように見ていた琴音さんは、ニヤリと薄笑いを浮かべた。「怖っ!」

「星七ありがとうね、これなら目立って勝てるかも………」拳を握りしめている。

 その日からミコトさんの前にミニスカライダーというコピーが付いた。

 やがてミコトさんはミニスカートでイベントに出るようになる。玲司さんも承諾しているようでミコトさんは可愛い笑顔と綺麗な足を惜しげも無く披露した。

 僕は付き人としてミコトさんのミニスカートをめくり、シワや糸屑など付いていないか確認する。多くのカメラが向けられるので大丈夫か確認する新な仕事が増えてしまう。変な仕事………………。

 夏休みの土日は様々な場所でイベントに出演するミコトさんの付き人としてひたすら働いた。土日以外では何回か茉白ちゃんと駅カフェで会った。そして僕は心の充電をする。優しくて可愛い茉白ちゃんを思いながらミコトさんのミニスカートをめくり異常がないかチェックする。家ではパンツとブラの悪魔のくせに、イベントでは本当のパンツが見えないようにチェックさせられる。僕は変態街道をまっしぐらに進んでいるような気がした。

「早く夏休みが終わってくれ〜!!!」心の中で叫ぶ。

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