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隠れ家の不良美少女 110 少女の様な母

帰る車の中で希和は和也さんにこれまでの話や、今の状況を嬉しそうに話した。
和也さんは時々目頭を押さえながら、何度も頷いて聞いている。

児玉の家へ到着した。
「ただいま〜お母さん!」
「お帰り、なんなの急にオシャレしてとか、どんなお店に行くの友希さん」希美子さんは不思議そうにしている。
しっかりオシャレしている希美子さんに俺は少しホッとした。
「お母さん、今日はもう一人お客さんがいるの」希和は外で待っていた和也さんの背中を押して中へ入れた。
「えっ!」希美子さんは持っていたバッグを落として絶句した。
「お久しぶりです……希美ちゃん」和也さんも固まっている。
「お母さん、しっかりしてよ」希和が声をかけた。
「しっかりしてるわよ…………」そう言いながらオロオロしている。
「突然お伺いしてすみません、希和ちゃんがどうしてもって…………」
「あの……良いんです……いやこんなところでなくても…………えっと……」
「お母さん、奥に入ってもらおうよ」
「そうね…………すみません…………古い家ですけど……どうぞ…………」
「お母さん、少女みたい」希和が笑った。
「なんなの失礼な」希美子さんは頬を膨らした。
「相変わらず可愛いですね」
和也さんが漏らすと希美子さんは真っ赤になって俯いた。

「お母さん、今日はみんなでタコパしようと思ってもう買い物してきたんだよ」
「そうなの、出かけるんじゃないの?」
「流石にこのメンバーだったら目立ち過ぎますからね」俺は頭をかいた。
「そうね…………じゃあ準備しなくっちゃ」
やっと希美子さんは少し自分を取り戻したようだ。

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