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隠れ家の不良美少女 38 メイドさん登場

しばらく経った日曜にガレージハウスへ来た。ドームのイベントが直ぐに迫っているので、土曜は来れなくなっている。
今日はキナコのSNS用写真を撮る予定になっている。
バイクで希和がやって来た。
「友希さんおはよう」過剰な笑顔だ。
「おはよう」
「衣装作ってきたよ」大きなリュックを背中に背負っている。
「そう、じゃあ早速準備するか」
「うん」
「今日は何のコスプレなんだ?」
「えへへ……メイドさん」ニヤニヤしている。
「なんだそのニヤけた顔は?」
「今日は一日友希さんのメイドになるの」また過剰な笑顔だ。
俺は少し寒気がした。
2階の奥の部屋はもう『キナコ』専用撮影所になってしまった。
希和は隣の部屋で着替えてメイクを始める。
「希和!衣装を見せてみろよ」
「こんな感じ」黒に白のレースがついた良くあるメイドのコスチュームだ。
「なるほど、じゃあ少し明るめの方が背景は良いかもな」そう言って背景をスタンドで吊り下げた。
「できましたー!」希和は俺の前でクルッと回った。
「友希さんどお?似合う」
「ああ、良く似合うぞ」
「それだけ?」
「ん……?」
「可愛いって言ってくれないの?」
「…………」
希和は不満そうに背景の前に立つ。
照明をリンクさせて何度か調整した。
希和のパソコンにカメラを連結して直ぐに記録され見れるように設定する。
「じゃあ撮るよ……カシャ」デジカメのシャッター音が部屋に響く。
希和の表情は緩んだ笑顔のままだ。
「希和、笑顔がだらしないぞ」……カシャ……カシャ……カシャ
希和は少し怒った顔をした。
「じゃあ視線をこっちにくれ」……カシャ……カシャ……カシャ
徐々にキナコに変身していく。
「キナコ、可愛いぞ!」……カシャ……カシャ……カシャ
キナコは可愛さを満開にさせ、やがて妖艶さも見せた。
「いいぞキナコ、大好きだ!」……カシャ……カシャ……カシャ
キナコはやがて恍惚の表情を見せた。
写真を撮るのは不思議な感覚だ、二人だけの世界に入り込んでしまう。
俺は『キナコ』にのめり込むように撮影した。
……カシャ……カシャ……カシャ……カシャ……カシャ……カシャ……カシャ……カシャ

撮影が終わった後も希和はメイドのままでコーヒーを入れたりして楽しそうだ。
希和はメイドのままで掃除のバイトを始めた。
俺は複雑な気分でそれを見ながらコーヒーをすする。

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