隠れ家の不良美少女　８６　時の人

コスプレイベントへの準備が始まる。
アート・シンクさんとの年間契約も決定し、イベントへの全面協力も始まった。
キナコがコスプレするRPG恋愛シュミレーションゲームのキャラクターである、お姫様の画像が送られて来た。それを元に早速衣装が作り始められる。
SONEレコードも配信に向けた準備が進んだ、同時にミニアルバムの制作も始まる。キナコの周りは急激に忙しくなった。

希和は出来上がったお姫様の衣装で撮影した。
山岸さんのスタジオを使い、同時に奏太くんが動画を撮っている。
直ぐに編集されて、ポスターやネット、テレビCMの準備が進められた。

コスプレイベントの会場や関係するイベント会社など、プロモーション計画も急ピッチで進すめられた。
それぞれの会場で行う内容の打ち合わせが、アート・シンクやSONEレコードと連携を取りながら進んでいく。

キナコはミニアルバム用の歌を練習している。
千草さんから細かい注意とアドバイスを受ける。

「そこの『が』は少し『ん』が入った鼻に抜ける『が』よ、そうでなきゃ感情が伝わらないでしょう？」
「はい、♪……君の全てが〜……」
「そうそう、その調子よ」

希和は言葉一つ一つを丁寧に歌へ紡いで行く。
キナコの表現力はより力を持った。

やがてキナコの歌の配信が始まる、そしてミニアルバムの発売告知も始まった。
同時にゲームのCMも始まり、様々なところでキナコが目につくようになっている。
世間へ確実に浸透してきたキナコは時の人となった。

そして、昼間に外へ出る事が難しくなった。
ガレージハウスは完全にキナコの隠れ家状態だ。
夜になって、こっそり児玉の自宅へ戻る。