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隠れ家の不良美少女 20 新くんのギャグセンス

天空カフェでは新くんが、疲れた顔をしてテラス席にいる。今日はボーっと景色を見ていた。
「「おはよう」」
「やあ、おはようお二人さん」
「どうしたの?疲れきった顔してるよ」
「無事に綾乃パパの会社の経営診断が終わったんだけどさ、色々とあってね」
「そう、綾乃さんとの交際資格試験は合格した?」
「何とかクリアかな…………」更に疲れた顔になった。 
「新さん大丈夫?」希和は新君の背中をさすっている。
「有難う希和ちゃん」少しだけ笑顔になった。

「いらっしゃい!」綾乃さんがコーヒーとジュースを持って来てくれた。
「交際資格試験合格おめでとうございます」
「有難う!もう新さんはしっかりパパのお気に入りになっちゃったのよ」
新くんは頭をかいている。
「じゃああとは結婚ですね」
「友希くん!」片方の口角が上がる。
俺は口を塞いだ。
「いいなあ結婚か…………」希和がうっとりしている。
「まだプロポーズされてないけどね」綾乃さんは笑いながら戻って行った。

「新くん、また軽トラを借りたいんだけど………」
「いいよ、はいキー」新くんはポケットから軽トラのキーを出してくれた。
「私、3ヶ月先のコスプレイベントでデビューすることになったんです」希和は報告する。
「そう、それはよかったねえ、で、どんなコスプレ?」
「マリン戦士アクアって言うゲームのキャラクターです」
「ああ、あれね、希和ちゃんがやったら超可愛いかもね」大きく頷く。
「それで、小道具の剣と盾を友希さんに作ってもらうんです」
「そうか、しっかり仲良くやってるね」含み笑いをしている。
「元は新くんが言い出したことでこんな事になってるんですけど」
「いいじゃないか、希和ちゃんが不良に成らなくてすんだんだからさ」
「俺が不良になってやろうかな」口をへの字にした。
「友希くんの不良はケンカが強いから洒落にならないね」笑った。

「私コスプレネームをキナコにしたんです、友希さんが名付けてくれたました」
「可愛いねえ、いい名前だ、でも何でキナコにしたの友希くん?」
「えっ…………」希和を見る。
「私、隠してたけど……本名は希和子なんです、だから……」恥ずかしそうに俯く。
「なるほど……一字違いで大違いってやつか」微笑んだ。
「「ん………」」俺と希和は顔を見合わせて笑った。

軽トラで児玉へ向かった。
「新さんギャグセンスはあんまり無いかも」
「そうだな、根っから真面目な優しい人だからな」

「そうだ、お母さんが友希さんにお礼が言いたいって言ってたから家に寄って?」
「えっ、お礼とかいいよ」
「私もそう言ったんだけど……でもやっぱりお礼が言いたいらしいよ」
「そうなんだ…………」

俺は少し気分が重くなる。
希和の家の前に到着した。
入り口には相沢洋裁と看板が出ている。
希和に引っ張られるようにして中へ入った。
優しそうで綺麗な婦人がニッコリ迎えてくれた。

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