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隠れ家の不良美少女 63 九州の家族

喫茶店を離れた後、虹の松原へ立ち寄った。
「海だ!凄い」希和は喜んで砂浜に駆け出す。
波打ち際で寄せては返す波と遊んでいる。
俺は希和を父親と会いに連れて来て良かったと思った。

海岸沿いをドライブしながら実家へ戻る。
家族は心配そうに迎えてくれた。
「どうだった……会えたかい?」父が心配そうに聞いた。
「ああ、とてもいい感じで話が出来たよ」
「機会を作っていただき、ありがとうございました」希和は父にお礼を言った。
「そうか!上手くいったんだな」父は笑顔になる。
するとみんな一斉に笑顔になった。
「良かったわ、じゃあお祝いしなきゃあ」母親が言うとみんな立ち上がって色々と運んでくる。

「ほら、特別に作ってもらったピザよ」妹がテーブルに持ち込んだ。
それからフライドチキンやローストビーフなど、今夜は洋食のパーティらしい。
希和はびっくりして声も出ないようだ。
妹は立ち上がってコップを持つと「希和ちゃん!お父さんとご対面おめでとう」そう言った。
皆んな『乾杯!』そう言って喜んでくれた。

妹は希和にピザを取り分けながら「話を聞いてもうビックリよ、希和ちゃんがあのロブスターズの和也さんの子供だったなんて」
「そうね……私も驚いてお皿落として割っちゃったわよ」
「それはお母さんがそそっかしいだけだろう」兄が笑っている。

ピザを食べようとした希和はそのピザを置いて泣き出した。
「私の事をこんなに歓迎してくれて………私……どうしていいか……」希和は両手を顔に当てて涙した。
「希和ちゃん、大丈夫?……私達は希和ちゃんの九州の家族だよ、何にも心配いらないわ」妹は希和の背中をさすった。
「ありが……とう……」希和は涙を拭きながら笑った。
「さあ希和ちゃん、食べて食べて」母は優しい笑顔ですすめている。
「ありがとうございます」希和は嬉しそうに食べた。
楽しい宴が始まる。俺は兄や父と久しぶりにお酒を飲んだ。

「希和ちゃん、こいつは小さい頃泣き虫だったんだぜ」兄が希和に話している。
「やめてくれよ兄さん、希和にバラすのは」
「そうなんですか?」希和は嬉しそうだ。
「だから格闘技を習わせたんだ」
「もういいだろう、そんな話は」
「もっと聞きたいですう」希和は喜んでいる。
俺は頭を抱え込んだ。

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