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隠れ家の不良美少女 32 東京デート

控えに行くと希和はJKになっている。
「友希さん、準備出来たよ」微笑んだ。
「何でJKなんだよ?」
「だって東京のファッションとか分かんないし、JKだったら何処でも安心だもん」
「…………」
「早く行こうよ」
「美奈さん、本当に良いんですか?希和が別行動で」
「大丈夫よ、前から友希さんとデートするのを楽しみにしてたし、今日頑張ったからご褒美でいいんじゃない?」笑っている。
「すみません」
「それに、この二人も手伝ってくれるみたいだし」
元不良高校生と幼馴染君が手を振って「行ってらっしゃいキナコさん」微笑んだ。
「美奈さんありがとうございます、衣装はまた別の日に取りに行きます」希和は頭を下げた。
俺もお礼を言って控えを後にする。

「友希さん……不良と幼馴染の優斗が応援に来たのはビックリした、それに……なんか割り切れない」
「そうか、一所懸命『キナコ』を守ろうとしてくれてたぜ」
「そうだけど………」
「真面目になってくれたんだから許してやれよ」
「ううん………」
「もし、あの不良君がいなかったら、俺は希和と出会う事も無かっただろうな」
「そっか……そうだね……許してやるか」希和はゆるく笑った。
「それでいいさ」俺も笑った。

吉祥寺に到着した。
井の頭公園へ向かって歩き始める。
「あっ、プリンさんのキャンピングカーだ!」希和が見つける。
「ここがカフェ・オータムか」
二人で中へ入った。
「いらっしゃいませ、あれ?不良少女……希和ちゃん?それに一瀬さんも?」
「お久しぶりでーす、一度来てみたかったんで」俺は挨拶した。
「嬉しい、訪ねてくれたんですね」
「匠真さん、一瀬さんんと希和ちゃんが来てくれたよ」
「あっ、どうも、お久しぶりです」
二人は快く迎えてくれた。

「いいお店だね」希和はキョロキョロと見渡している。
「今日は何かあったんですか?」凛ちゃんはメニューを出しながら聞いて来た。
「私のコスプレデビューだったんです、池袋で」
「そうなんだ、希和ちゃんも輝く場所を見つけたんだね」
「はい、今日頑張ったんでご褒美に連れてきてもらいました」
「まあ、そんな感じです」俺は苦笑いした。

「友希さん、お腹すいた」
「好きな物を頼んでいいぞ」
「希和ちゃん、二人で食べると幸せになれる親子丼があるよ」
「じゃあそれがいい!」希和は満面の笑みで応えた。
「じゃあ俺は……」
「二人で食べないと意味ないでしょう」希和が口を尖らせる。
「はい、親子丼二つですね」凛ちゃんは笑って匠真君に言った。
「了解」匠真君もクスクス笑っている。
俺は背中に嫌な汗をかいた。

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