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隠れ家の不良美少女 22 風邪引いた?

日曜から希和のコスプレ用小道具を作り始める。
工具部屋の机の上で、ブルーのアクリル板を盾の形に切断し、アルミの板で縁取りを作った。中心の紋章は3Dプリンターで作る事にして、パソコンのデータを作る。

ポトポトとバイクの音がした。
「友希さーん、おはよう!」
「……おはよう……」
玄関を開けた。
ウザイ笑顔の花が満開だ、当たり前のように中に入って来た。
「友希さん……会いたかった」緩んだ笑顔を咲かせた。
少しだけ寒気がする、しかしコーヒーをいれてミルクを多めに足した。
ズケズケと俺の心に入ってくるような気がして、少しイラつく。
しかし、何故か放っておけなくなってきている。
何なんだろう?勿論、恋などという代物では確実にない。
操られてるような不思議な感覚だ。

昨夜はリビングの椅子でしばらく寝てしまった。
思ったよりも寒くて目が覚めたが、そのせいなのか少し頭が痛い。
「友希さん、なんか顔色良くないね」そう言っておでこを触ってきた。
「ゆうべうたた寝したからな………」
「熱があるんじゃない?」
「そうかな……」
「体温計はないの?」
「あるけど、測らなくていいよ」
「どうして?」
「熱がある事がわかると、具合悪くなるからな」
「何それ、子供みたい……いいから熱を測って!」
仕方なく体温計を見ると、38・5度あった。
「ほら、やっぱりだ」
「風邪でもひいたかなあ………」
「お薬は無いの?」
「無いよ」
「困ったなあ……そうだ新さんに聞いてみる」
「えっ、迷惑だからいいよ」
「だって、ひどくなったらいやだもん」
「大丈夫だってば」

結局午後になって頭痛がひどくなりかなり気持ち悪くなった。
「ほら……だから言ったのに」唇を尖らせて睨んでいる。
「寝てれば治るさ……」
俺は2階のソファーで横になった。
希和は横に座って心配そうに見ている。
「大丈夫だからもう帰れ」
「嫌だ、心配だからそばにいる」
「だめだ!、いいから帰れ」
「嫌だ!」
俺は寝返りをして、希和の視線を合わせないようにする。
しばらくすると希和は階段を降りていく。
少しホッとして眠りについた。

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