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隠れ家の不良美少女 79 オシャレ

希和の家へ帰って来た。
「友希さん、色々と考えていただいて有難うございます」希美子さんは頭を下げた。
「どこまで上手く行くかは分かりませんが、やって見る価値はあると思うんです」
「きっと大丈夫だよ、友希さんは名プロデューサーだから」希和はゆるい笑顔をした。
「そうね」希美子さんもゆるい笑顔になった。
やはり親子で似てるなと思った。

「友希さん車を買ったんだよ」
「そうなの?」
「うん、キナコ号だって」
「そうなの?」希美子さんは不思議そうな顔だ。
「これから希和の移動は電車では無理になってくるので、買うことにしました」
「黒い高級車だよ」
「そうなの?」
「やはり、キナコが乗っている車がみすぼらしかったら本人のイメージが下がりますからね」俺は笑った。
「車が来たら軽井沢に三人でドライブするんだよ」希和が微笑んだ。
「そうなの?」希美子さんキョトンとしている。

「希美子さんもオシャレして一緒に出かけましょうよ」俺はにっこりと言った。
「ええ〜…………」
「そうだよ、いつもお母さんはデニムのエプロンで髪も後ろに束ねてるから、たまにはオシャレしようよお」希和が希美子さんの袖を揺さぶる。
「そうね……オシャレって言葉さえ忘れてたわ」
「ステージ衣装を作る人がオシャレじゃなかったらダメだよ」希和は笑った。
「そうね」希美子さんも笑った。
「希和が友希さんと知り合ってから、色んなことが変わって来たわね」
「そうだね、でも希和は幸せだよ」
「そうね、そう見えるわ」希美子さんは微笑んだ。

「希和、いっそのこと端切れの置いてある部屋を友希さんの部屋にしたら?」
「絶対ダメ!」
「どうして?」
「そんなことしたら、希和の部屋で一緒に寝てくれなくなるもん」頬を膨らませる。
「そうね……それは困るわね」希美子さんはクスリと笑った。

「今夜の食事はどうしますか?」俺は聞いてみる。
「希和やりたい事がある!」
「なあに」希美子さんが不思議そうに聞く。
「タコパ」
「ん……」
「ホームセンターで見た『たこ焼き器』でたこ焼きをやりたい」
「なるほど」俺は頷く。
「じゃあ、早速買いに行こう」
俺は不良少女に変装した希和とホームセンターへ向かった。

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