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隠れ家の不良美少女 87 近所の噂

希和の自宅近くで、希和がキナコに似ていると言う噂が立った。
希和は不良ファッションに金髪ウイッグを付けて、違いをアピールする。
希美子さんもいつものようにデニムのエプロンに髪を後ろでまとめ、何の変化もない事をアピールした。
優斗くんは希和が不良になった事をアピールしている。
何とか希和とキナコが別人である事が周知されたようだ。
しかも噂では、俺が出入りしてるのは希美子さん目当てだと言う事になっている。
それも好都合だったので、そのまま放置する。
希美子さんは「若い彼氏が出来たのね」と、ご近所さんから冷やかされたらしい。

今夜も希美子さんは衣装作りで遅くなるようだ。
俺は希和と二人、児玉の自宅でひっそりと過ごしていた。

「友希さんお腹すいたよ」
「そうだな………」
「冷蔵庫には何も無いなあ…………」希和は色々と探している。
「何か買いに行くか?」
「うん、カップ麺を買いたい」
「じゃあ…………と言っても近くじゃ目立つしなあ……」
「なんか毎日が暮らしにくい」希和は頬を膨らす。

俺は少し離れたコンビニまで買い物に行く。
カップ麺とおにぎりを食べながら希美子さんを待った。
しかし、今夜は遅くなると連絡が入る。

「お母さん、希和の衣装のために頑張ってくれてるんだね………」
希和はお風呂の準備をした。
「友希さん、お風呂に入って、お布団用意しとくから」
「ああ……」

お風呂から上がっても希美子さんは帰って来なかった。
希和もお風呂を済ませ、希和の部屋で寝る準備をした。

「友希さん、私このままだったら頑張れない」俺を睨んだ。
「どうしたら頑張れるんだ?」
「キスしてくれないと頑張れない」上目遣いで見てくる。
「何だそれ……」俺は呆れた。
「もう頑張れないもん」子供のようにジタバタしている。
俺は布団に入って知らんふりをした。
希和は布団に入り込んできて「キス・キス」とせがんでいる。

「はあ…………」俺は起き上がって布団の上に座る。
「キス…キス…」希和は俺の前にきて更に要求してきた。
「分かった!キスしても良いが条件がある」
「なあに」希和は首を傾げた。
「キスは週に一回だけだ、それ以上はしない」
「う…………週に一回だけなの?」不満そうに俺を見ている。
「そうしないと、いつどこで誰に見られるかわからない」
「そっか……」希和は俯く。
希和はしばらく考えたが、ニッコリして「それでいいよ」と目を閉じた。
俺は希和を抱き寄せ、髪を少し撫でてそっとキスをする。
希和はゆるい笑顔をして抱きついて来た。
結局俺に抱きついたまま寝てしまった。

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