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隠れ家の不良美少女 28 新くんの事情

天空カフェへ到着した。
新くんはボーッと景色を見ている。
「新くん!」
「ワッ!ビックリした」
「どうしたの?最近変だよ」
「うん………今まで契約してた会社が綾乃パパの会社に買収された」
「えっ、マジ!」
「俺は綾乃パパの会社の社員になっちゃった」力なく笑った。
「綾乃パパの会社ってどんな会社?」
「蒟蒻ゼリーとか作ってる、マサキって会社」
「あのテレビでCMやってる?」
「うん」頷いた。
「「ええ〜!!」」希和までビックリして後退りした。
「あの有名な会社の?」
「…………」頷いた。
「怖〜……」
「でしょう、俺も怖くて最近あまり寝れなかったりする」
「なんでそんな超お嬢様の綾乃さんと付き合った訳?」
「知らなかったんだよ、初めは小さな会社の社長とか言ってたから」
「騙されたの?」
「………………」
希和が袖を引っ張る。
「何だよ」見ると目配せした。
後ろに綾乃さんがにこやかに立っている。
「なんか騙したとか聞こえたけど?」
「いえ何も言ってません」希和と二人で引き攣った笑いで誤魔化してみる。
「そおなの?」にこやかに帰っていった。
「新くん、よく普通にしてられるね?」
「だから、ボーッとしてるでしょう…………」
新くんはガックリと肩を落とし、深くため息をついている。

「そんな状況の中、悪いんだけど、軽トラ借りれる?」
「いいよ」新くんは力なく笑って鍵をくれた。
「元気でね」そう言って手を振ってカフェを後にした。

隠れ家で剣と盾を軽トラに積み込んで希和の家へと向かう。
「新さん大変そうだね」希和が心配そうにつぶやく。
「そうだなあ…………」俺もうなずく。
「私は普通だから友希さん安心していいよ」
「何がどう普通なんだよ」
「社長の娘とかじゃないし、結婚も簡単に出来るよ」笑っている。
「アホか!」
俺は軽トラを加速させた。

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