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恋するプリンとゆるルン密着旅 53 家族

両親も一緒に、車で天空カフェへ向かう。
到着すると、リンのキャンピングカーが停まっていない。

「すみません千草さん、リンはどこへ行ったか知りませんか?」

「ちょっと美容室まで行ってくるって言ってたわよ」

「じゃあ戻って来るんですね?……良かった」オレは冷や汗をかいた。

「初めまして、匠真の父です、この度は息子が大変お世話になりまして」

「ああ、匠真君のお父さんですか?初めまして千草と申します」

「初めまして、匠真の母です、とっても良いお店ですね」

「初めまして、有難うございます……リンちゃんが帰って来るまでゆっくりくつろいで下さい」

千草さんはニッコリしてコーヒーを出してくれた。

「有難うございます」両親はテラス席で絶景を眺めながらコーヒーを飲んでいる。

そこへリンが帰って来た。

「あれっ?どうしたのその髪は?」

「うん、もうプリンでなくていいと思ったから切って黒くしちゃった」少し笑った。

「そうか…………」黒髪のリンはとても可愛いい。

「どお?似合う?……なんかコケシみたいになちゃった」

「そんな事はないよ、今までよりもっと可愛くなったと思うよ」

「そう………じゃあ今まであまり可愛くなかったの?」

「そういう事じゃなくて………それよりリン聞いてくれよ」そう言ってリンをテラス席に座らせ俺も横に座る。

「なあリン、もし蘭ちゃんだけが生き残ったとしたらリンはどう思う?」

「そうだったら嬉しいな、私より蘭の方がいいもん」

「じゃあ前日に喧嘩していたらどう?」

「そんなこと関係ないよ、たった2人きりの姉妹だもん」

「じゃあ喧嘩しても蘭ちゃんが幸せになる事を祈るのかい?」

「そうよ、家族の分もいっぱい幸せになって欲しいもん」

「じゃあ……蘭ちゃんも家族もみんなリンが幸せになって欲しいと思うんじゃあないのかなあ……」

「え…………」

「もし、リンが蘭ちゃんのように家に帰って、みんな津波に飲み込まれたら……その方が家族は嫌なんじゃあないのかなあ……だって誰もリンの家族の事を思い出してくれる人が居なくなってしまうよ」

「タクちゃん…………」

「リンの家族も決して忘れないようにしよう……だからオレと家族になってくれ」

「タクちゃん…………」

「実は父さんと母さんも新しい家族を迎えに来てるんだ」

「えっ………」

テラス席の離れている所から見守っていた両親が微笑みながらやってきた。

「初めまして、匠真の父です、こんな頼りない息子を好きになってくれて有難う、これからもよろしくね」

「凛ちゃん、匠真の母です、私たちと家族になってくれるかしら?」

「えっ……私……私でいいんですか?」

「ほら!匠真しっかりしなさい」

「うん、リンじゃなきゃだめなんだ、だから家族になろう………そしてずっと言えなかった『ごめんなさいとさようなら』を2人で言いに行こう」

「えっ………うん………」リンは子供のように涙を流して立ちすくんだ。

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