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飯田線秘境駅めぐり⑦(終) 千代駅〜帰京

最後は千代駅に向かいます。

最初の記事と前回の記事はこちらです。

千代駅

小和田駅から乗車し1時間、千代(ちよ)駅に到着です。

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駅の周りには民家が一軒、線路の向こうにはその民家の方が管理している畑。それだけの駅です。

「ローカル線の静かな駅」という形容が似合います。

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それでも昔は砂利の採取場として賑わっていたらしく、引き込み線にその跡が残ります。

天竜峡の手前ということで、山肌が削られてできた砂利が溜まりやすいようです。

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ここは秘境駅と呼ばれていますが、これまで巡ってきた無人地帯とは明らかに趣が違います。

駅の前まで車で来られ、道は舗装されていて、道幅はギリギリすれ違えるほどもある。徒歩10分で集落に到着。集落からはバイパスが見え、その近くには「そらさんぽ天竜峡」という観光スポットがあります。

直前が小和田駅だったせいで感覚がおかしくなってるのは否めませんが、秘境駅銀座においては人里であるという一点だけでもう都会です。

そらさんぽ天竜峡

時間がそこそこあるので、「そらさんぽ天竜峡」に行ってみることにしました。

老夫婦が漫才みたいな夫婦喧嘩をしているのを横目に千代集落を抜けると、広いバイパスが見えました。

その高架下を通ると、こんな感じの広場になっていました。

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ツーリングにやってきた中年男性の2人連れや、若いカップル、きれいな毛並みの大型犬を連れ歩く裕福そうな家族などが見えます。

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同業者以外に巡り合うと秘境を求めた旅の目的とは異なってしまうのですが、やはり観光地化するだけあって絶景です。


「そらさんぽ」からは飯田線が見えます。

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全国屈指の秘境地帯を通る路線がトンネルへと潜っていくのを見て、ここに鉄道を通した先人の苦労に思いを馳せました。

千代駅に戻る

一通り写真を撮って駅まで戻ってきましたが、まだ時間があったので駅の周りを少し観察してみました。

駅に併設している一軒家には人の気配はありませんでしたが、農機具置き場にかけられた時計は正確だったので、少なくとも畑は現役であるようです。

畑に渡る踏切はこんな感じです。

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「通行しないでください」と書かれてはいますが、このお宅の方だけはJRから許可が出て踏切として利用されているのでしょうね。


一通り観察が終わって駅ノートを記入し、秘境駅を楽しむ最後の時間がやってきました。

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千代駅には秘境ならではの恐怖感がなく、ただひたすらのどかな場所です。

しんとした中に天竜川のせせらぎがうっすら聞こえます。うぐいすの季節もそろそろ終わりですが、まだ鳴いてくれていてよかった。

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そうこうしているうちにやってきた電車に乗り、このまま豊橋に向かいます。

豊橋到着〜東京駅へ

豊橋に着く頃にはかなり日が暮れてしまっていました。

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車内には日常の足として使っている学生や会社員がたくさんいて、このギャップも飯田線の魅力のひとつなんだなとぼんやり考えていました。


GWに6駅回ったにもかかわらず、同業者との遭遇はゼロ。ご時世的にも、秘境を楽しむという意味的にも、非常に運のよい旅でした。

人の去った跡の残る金野駅に物悲しくなり、中井侍駅の茶畑に感動し、田本駅の狭さに驚嘆し、為栗駅で自然に圧倒され、小和田駅のレベルの違いをまざまざと思い知り、千代駅で人里の秘境駅の良さを知りました。


石北本線の白滝シリーズや根室本線花咲線の秘境駅群が軒並み廃止された今、これだけ秘境駅が連続している区間は宗谷本線の天塩中川〜幌延間くらいでしょう。

宗谷本線と違うのは、全国屈指の秘境区間にもかかわらず本数が多いことです。おかげでこうした過密な訪問スケジュールを組むことができ、2日間でしたが非常に充実した旅になりました。


千代駅を出て5時間ほどで東京に戻ってきましたが、首都の灯りにどうも現実感がありませんでした。乗ってるだけで行ける非日常が鉄道旅の良さですね。


今度は大井川鐵道の井川線あたりに行ってみようと思います。

最後の写真は、箱ダイヤ乗車で都合8回通過することになった温田(ぬくた)駅の駅名標です。

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ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

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