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飯田線秘境駅めぐり⑤ 小和田駅〜塩沢集落(往路)

小和田駅の続きです。

最初の記事と前回の記事はこちらです。

塩沢集落へ

小和田駅周辺を一通り見て回ったので、最寄の塩沢集落まで歩いてみます。

聞くところによると、徒歩50分。およそ1時間後に来る電車を見送ることにして、時間は3時間確保しています。

それでは出発。まずは、天竜川沿いを歩いていきます。

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最初は大河を間近に感じられる、風光明媚な道です。昨日の雨の影響で川が濁っているのだけが残念。

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しばらく歩くと、徐々に森林に入っていき、最初の分かれ道に差し掛かります。

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左へ行くと「高瀬橋」という橋があって車道が通じていたようですが、はるか昔に橋が落ちてしまったようです。

もとより塩沢集落に向かうならば右が正しいルート。右に向かいます。


さらに歩くと、最近まで現役であったと思しき家屋が見えてきました。ここに住んでいたのが小和田集落最後の住人だったようです。

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迷子になる

この家屋の先に、またもや分かれ道が。

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橋の崩落の次は、崩土。右手に見えている橋が渡れれば楽だったんですが……

こちらのサイトの指南にしたがって、一旦下ります。

迂回路だけあって、ほとんど獣道です。しかも、昨日の雨で滑りやすくなっていて怖い怖い。慎重に山道を下っていきます。

小さな川になっているところを飛び越え、下りきったところで沢が見つかりました。

再び道案内のサイトを見ると、「沢まで下って登り返すと、上方に橋が見えてくる」。

いや、橋なんて見えないぞ……それから「登り返す」と言っても、道らしきものは沢の向こうにあるものだけで、全く見当たらない。

まさか、沢を飛び越えろと?

しかし、沢がどれくらいの規模かというとこんな感じです。

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足を滑らせると全身濡れ鼠だけならまだしもカバンの中身の電子機器は全滅確定、しかも昨日の雨で増水していて飛び石になりそうな場所は見つかりません。

下手に動いて遭難でもしたら一大事、場所が場所だけに誰も助けに来てくれない……

沢の回りをうろうろ、時間は刻一刻と過ぎていく……

ヒルに襲われる

そんなとき、足首のあたりに違和感を感じました。なんだかチクチクするような。

杉の葉っぱでも靴に入ったかと思って裾をまくりあげてみると、ヤマビルが2匹、足首を這っている!!

大声で悲鳴を上げて足首からヒルを引き剥がして放り投げ、来た道を走ってもどりました。

まさか30越えて本気で悲鳴を上げてしまうとは思わなかった……

先ほどの分かれ道のあたりまで戻り、吸血されていた場所を確認すると血がダラダラ。

靴にも血がついていましたが、とりあえず流血していた場所だけウェットティッシュで拭き取りました。


さあ、ここからどうするか。

順路が見つからないので引き返すか。それとももう少し順路を探すか。

しかし、今引き返しても駅で2時間持て余すだけ。それに、今回塩沢集落へのアタックを成功させておかないと、大きな心残りを出すことになる。

心残りができてしまうと、また来てしまう気がする。

また来てしまうということは、同じルートを通ってまたヒルに……

考えただけでゾッとするので、強引に今回成功させてしまおう。

そんなわけで、ヒルに襲われたことで逆に続行を決断したのでした。

順路の吊り橋を発見

ヒルに襲われないように慎重に足を運び、また沢の前までやってきました。が、道がわからないのですから、立ち尽くすしかありません。

さすがにもう諦めようかと思ったその時、沢沿いのはるか上方に赤い吊橋のようなものが!

そこまでは獣道のようになっていたのですが、いつヒルに襲われるともわからない沢沿いから早く離れたくて、一心不乱に駆け上がりました。

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橋を渡ったあとは、40分近くも急な山道を歩き続けます。

道は先ほどと違ってコンクリート製の石畳になっている箇所が大半だったので、確かに人の営みは感じられるのですが……

石垣が崩れていたり、木が倒れたままになっていたり、道が崩れたのがそのままになっていたり、道が全体的に苔むしていたり、徐々に自然に飲み込まれつつあるようです。

小和田集落からは完全に人がいなくなり、塩沢集落もお年寄りばかりのようなので、この道を使う人もいないのでしょう。いくら慣れていても、夜間や雨の日は危険すぎて歩けたものじゃありません。

近々、小和田駅も徒歩での到達が完全に不可能になるのかもしれませんね。

塩沢集落へ到着

息を切らせながら一心不乱に歩き続け、ようやく塩沢集落にたどり着きました。特に最終盤の急坂は本当にきつかった……

駅を出発して1時間40分ほど、駅からの脱出成功です。

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塩沢集落は山間の静かな集落で、農機具置き場や瓦葺きの日本家屋が斜面に点在している場所でした。

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集落から見下ろす山肌は本当に綺麗で、ここまで登ってきた甲斐があったというもの。

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地元の方に会えれば駅の利用状況などお話を伺いたかったのですが、お昼どきというのもあってか道には人影は見当たらず、水分補給を済ませて駅に戻ることにしました。

あと1時間15分ほどで電車が来てしまいますしね。

まだまだ続きます。

(つづき)


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