見出し画像

修了証授与イベント中止から考えること

このたび当活動も note を開設しました。先に始めているFacebookページと合わせて、活動内容や関連する話題をご紹介します。今回は、昨晩の事務局ミーティングで話し合ったことから、修了証授与イベントについて取り上げます。

2019年度の体験活動にご参加いただき、宣言した体験活動を完了した参加者の方々に、今年も修了証をお渡しします。例年東京で授与式イベントを開催しており、今年も3月20日に予定しておりましたが、昨今の新型コロナウイルス流行への対応として、イベントの開催は断念し、それぞれのアドバイザーさんを通じて修了証をお渡ししていただくべく、発送準備を行っています。このイベントは、修了した参加者の方々は一層の達成感が得られ、またそのうちの何人かの方に体験内容を発表していただくことによってお互いの学びにもなるという意義のあるものであっただけに残念です。動画配信などを使ってオンラインで開催することも考えたのですが、オンラインでは前述の意義がかなり損なわれるだろうと思います。ただ、体験活動の幾つかを事例としてご紹介していくことは今後の参加者の方々にも参考になりますので、何らかの形で実現していこうと話し合いました。

これを機に改めて考えたのは、学びを奨励するということについてです。当活動では、人が成長するための学びとは学校で教わることだけではない、学校外での様々な体験からも人生で必要な多くのことを学ぶのである、という考えのもと、多くの人がボランティアなどの社会体験、運動体験、自然体験、生活や文化を通した体験などから学ぶ社会を目指しています。では、そのためにどうすればよいか。

まず考えられることは、そのような活動にご褒美を与えることです。実際この活動も名称に「アワード」と付いており、参加してやり遂げた方々に修了証をお渡ししております。これは前述のようにある程度の励みになることであることは間違いないと思っていますが、ご褒美が行き過ぎると、ご褒美目当ての活動になってしまうおそれがあります(教育学では外発的動機づけと呼ばれます)。ご褒美目当てになってしまうと、簡単な課題を選ぶようになってしまったり、ご褒美が無いとやる気が起きなくなってしまったりします。しかし私たちが目指すのは、最終的にはそのようなご褒美が無くても人々が自律的に体験から多くのことを学んでいくことです。

そのため、この活動では各自が体験活動の内容を記録し、アドバイザーとともにそれを振り返りながら活動するということを大事にしています。その記録は活動後も手元に残り、後で振り返って活動前後の自分の変化を認識したり、家族や他者に対して自分の学びの実績を紹介することもできる資料になります。このような資料は教育学では学びのポートフォリオと呼ばれ、自律的な学びにとても有効な道具であるとされています。そして、最後は達成したから褒める、達成できなかったから叱る、ということを強調するのではなく、その活動から学びを得られたということ自体を認め合い、そこから次の新たな体験に目を向ける機会を作るということなのではないでしょうか。

幸いにして、体験活動は受験勉強とは違って誰もが楽しく取り組めるものであり、ご褒美がなくてもそれ自体を楽しむことができる可能性がたくさん秘められているものです。その中から参加者各自が自分の興味関心に重なるテーマを見つけ、体験を楽しみながらも新しい学びを得ていくということをも「体験」して会得していただきたいと思っています。

今回は思わぬことから修了イベントを中止せざるを得なくなってしまいましたが、これを機に改めて自律的な学びを支援することの難しさと、この活動の意義を確認することができたと思っています。

(フジムー)

画像1

(一昨年の修了証授与式より)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?