天皇賞・秋
東京芝2000mでコース替わりの週となっている。コーナーのポケットからスタートして130mで2コーナーがあり、外枠の馬は内に入るまでの距離が長く、ロスが生じやすい。外枠は基本的に不利なコースではあるが、フルゲートになることはほとんどなく、過去に最後に18頭が出走したのは2017年でしかも雨の降る不良馬場だった。基本的には高速馬場で標準~1秒くらい速い時計が出やすい日程。トラックバイアスもあまりなく、内が有利というわけでもない。ただ外枠はポジションを取りにくくなるため、有力馬じゃない馬が外枠に入った場合はあまり期待できない。基本的には強い馬が勝つレースであまり荒れるようなレースではない。今年はサトノエルドールが回避して16頭。
キングズパレス
新潟大賞典はハナ差の2着、七夕賞は2馬身差の2着、新潟記念は0.1秒差の3着と惜しい競馬が続いているが、すべてローカルでの競馬。さすがにG1の舞台では足りていないと見るのが妥当ではある。左回りの方がいい馬で、右回りだと内へササってしまう。少し気難しい馬でもあるので乗り替わりは割引。ただそれなりに切れる脚は使える馬で美浦Sの内容は優秀。たださすがに相手が強すぎるか。
ジャスティンパレス
前走は宝塚記念で10着だが、馬場が悪く、良馬場向けのこの馬にとっては参考外で良い。昨年の天皇賞秋は2.5馬身差ではあったものの、レコードの中で2着。相手はイクイノックスなのでさすがに強かったが、この馬自身もかなり強い内容だし、流れたペースの中で最後まで伸びあぐねなかったのは評価。上りも1位でイクイノックスが引退した後の今回は期待できる。また、有馬記念は4着だったものの上位は内を回ってきた馬でこの馬だけが外を回しての4着と考えると強い内容。コーナリングがスムーズではない馬なので広いコーナーになるのはプラス。ここは頭まで狙いたい。
シルトホルン
さすがに相手が悪いのでここは軽視。
ステラヴェローチェ
前走のオールカマーは6着だったが、直線は伸びあぐねてしまった。前残りのレースの中で4コーナーも前にいたので案外な内容。2走前の札幌記念も同様に前残りのレースで比較的前にいたし、洋芝条件もおそらく合っていた。
以下はオールカマーのメモ。
”大阪杯4着、札幌記念3着と上位クラスでも成績を残せている。安田記念は折り合いが悪く、外を回す競馬も悪かったため、展開面も合わなかった。前走の札幌記念は中位から運んで内内を回って距離ロスを抑えて末脚を伸ばす競馬。前残り決着の中でコース取りもよかったが、前半は力み加減で、道中も我慢させる競馬で折り合いがあまりよくない。安田記念も折り合い面に問題が見られていたし、滞在競馬で折り合いが悪いのは正直微妙。今回は輸送もあるし、もっと折り合いが悪くなる可能性はある。人気はするだろうが、気性面で少し割引。能力は高い。”
大阪杯の内容が優秀ではあるし、大阪杯は内前決着の中で追い上げてきての4着。ここは抑えには入れておきたい。
ソールオリエンス
個人的にはここが一番狙いやすいと思っている。もともとコーナリングが下手かつ右回りもよくない馬なのでなぜずっと右回りの内回り条件ばかり使っているのかよくわからなかったが、前走は右回りと言えど待望の外回りで2着。重馬場も味方したという見方ももちろんあるが、この馬は十分に力を発揮できれば強い馬なので今回の絶好な条件に替わるのは素直に狙い目。もちろん相手は強いが、その分この馬はオッズがつくので期待値が高い。ただどちらかといえばこの馬に向く条件は去年のような持久力も問われるレースだとは思うのでスローペースだと微妙。
タスティエーラ
そもそも強いとはあまり思っていないのでここは軽視。
ダノンベルーガ
鞍上が魅力的だが、まだ反応が鈍く、息も荒くて仕上がりが遅れていると掘厩舎のコメントがある。前走はドバイターフだが、6か月以上経っているので海外帰りは然程気にする必要はないと思うが、やはりまだ万全とは言えなさそう。目標はジャパンカップか。ただ追切はまあ参考程度くらいにしておいた方が幸せになれる場合も多いし、2年前の天皇賞では3着に激走したし能力は確か。
ドウデュース
文句をつけるところはあまりない。しいて言えば去年と同じ調整過程となるし、この後ジャパンカップ、有馬記念、引退という流れを考慮するとここは無理してメイチに仕上げてくる場面ではない。そういう意味ではここは若干軽視したいところ。また宝塚記念では序盤から口を割っており、気性の粗さが出てきているようにも思える。長期休養明けは折り合いが悪くなることが多いので、ここは抑えにする。ただ能力はもちろんトップクラス。
ニシノレヴナント
超大穴としては狙いたい。というのも昨年のグレイトフルSの時計が超優秀で標準より1秒速い馬場の中で3秒速い決着だった。ただし、次の日の有馬記念も同様の馬場でタイム比較をすると有馬記念では2桁着順にはなってしまうし、斤量も55㎏だったので鵜呑みにはできない。ただし、2着のキングズパレスはその後、重賞でも好走しており、この舞台に駒を進めてきている。ダイヤモンドSはさすがに距離が長かったし、メトロポリタンSは4コーナーで外に膨れて、直線は内にササり気味というちぐはぐな競馬。前走のオールカマーは休み明けな上に出遅れて、結果としては内前決着で展開が合わず。さすがに勝つほどとは思えないが、3着くらいなら来てもいいポテンシャルはあると思う。
ノースブリッジ
気難しい馬なのでゲートで待たされるのが苦手で多頭数は歓迎できない。前走の札幌記念も前残り決着で馬場の割に時計は0.5秒遅い決着となっているので正直ここは微妙なところ。去年の天皇賞は時計が速すぎたか。ただ先行力が高いし、コース替わりでもあるし、前走は危なげなく押しきって完勝という内容。厩舎コメントでは何かしらの助けが欲しいという内容ではあるが、楽に先行できれば馬券には入ってもよいとは思う。
べラジオオペラ
前走の宝塚記念は外差し決着で恵まれており、大阪杯も内前決着で恵まれた。正直ここは過剰人気になる感じは否めない。また中間は夏負けもしており、夏の暑さに弱い点を考慮するとここは一度軽視が妥当か。
ホウオウビスケッツ
函館記念で勝ち上がり、毎日王冠はクビ差の2着。基本的に巴賞で逃げて勝った馬は函館記念ではコースもペースも異なるし、斤量も重くなるのでとても不利というジンクスがあるが、それを跳ねのけての0.6秒差の完勝。時計も馬場の割には1秒速く、評価が高い。前走の毎日王冠は逃げて0.1秒差の2着。この時の厩舎コメントでは追切の動き敵に六分くらいの状態というコメントだったし、上積みがある。岩田パパもまだ状態が本当ではない中でよく頑張ったとコメントしている。もともと夏場が苦手らしく、元気がなかったとコメントがあるし、函館記念の時が良すぎた様子。完成度はまだまだだが、ポテンシャルは高く、どこかでチャンピオンになれると調教師も豪語するほどの馬。2000mも良さそうだし、ここは人気がなければ狙いたい。
マテンロウスカイ
前走は毎日王冠で8着だが、スペースがなく、内へモタれており、無理をしなかった様子。休み明けでもあったし、着順の割に0.5秒差でさほど離されてもいない。折り合い面がリスクな馬なのでペースは速いほうが良い。今回はもう少し前で運びたいようだが、明確な逃げ馬がおらず、しいていえばノースブリッジかホウオウビスケッツかといったところ。どちらもハイペースで逃げる馬でもないのでマテンロウスカイが逃げてもおかしくはない。折り合いが良くないのでペースは上げたいし、G1である程度のペースになればなお折り合いやすいかもしれない。中山記念は内前決着ではあったが、ハイペースで折り合って完ぺきな内容での勝利だった。今回は十分に前残りする可能性もあるので抑えには入れておきたい。ただ距離はちょっと心配。2000mはやや長いかも。外枠だと軽視。
リバティアイランド
強いのはわかっているし、死角もあまりないので軽視はできない。ただ春は怪我の症状が出ていたらしく、全休してからのこの舞台になるので長期休養明けとなり、まだ万全ではなさそう。また斤量56㎏を背負っての勝負は初めてとなり、去年のJCは54㎏で2着だった。心配面があるとすればその辺。
リフレーミング
前走は中京で行われた小倉記念でレコード。左回りで結果を出したし、相手がかなり強くなる上にローカルではない舞台。出遅れやすく、2走前の七夕賞は仕掛けが遅くなっての5着。3走前の新潟大賞典は最後方から差を詰めるも5着と届かず。展開が合わなかった分が結構あったが、前走は鮮やかな勝利。相手が一気に強化する点は心配だが、能力としては悪くない。
レーベンスティール
鞍上も込みでさすがに軽視はできない。特にエプソムカップが59㎏を背負って速い時計での決着なのでこれは素直に強い。オールカマーは前残りだったが、うるさい面を見せており、なんとか折り合うといった感じだし、最後の1ハロンを過ぎても前が壁という状況だった中での勝利で能力面でいえば非の付け所がない。ルメール3週連続G1勝利もおかしくはない。ただスローペースだとちょっと心配ではある。
以上で枠前の印は
◎ジャスティンパレス
〇レーベンスティール
▲リバティアイランド
☆ホウオウビスケッツ
△ソールオリエンス、ダノンベルーガ、ドウデュース、ニシノレヴナント、ノースブリッジ
かなり堅い決着になる可能性も高いので、妙味だけでいえば、ジャスティンパレスの単勝と馬連がよさそうではある。