KMT-2019-BLG-0371L系の発見

2019年に発生した重力マイクロレンズイベントについての研究がarXivに掲載されている(https://arxiv.org/abs/2101.12206)。重力マイクロレンズイベントとは背景の天体の手前を別の無関係な天体(レンズ天体)が横切るときに重力による空間の歪みで2つの天体の合成光度が変化する現象のこと。この時の増光のパターンによっては、レンズ天体の周囲に太陽系外惑星が存在していることが分かることがある。

今回研究された「KMT-2019-BLG-0371」は、2019年に3つのマイクロレンズイベント観測システム(KMTNet, OGLE, MOA)によって記録されていた。増光パターンの分析によって、このイベントを発生させたレンズ天体「KMT-2019-BLG-0371L」は、主星と伴星(KMT-2019-BLG-0371Lb)から構成され、その質量比がおよそ1対0.08と推定された。統計的な見積もりによると、主星は質量が太陽の0.09(+0.14/-0.05)倍、伴星は木星の7.7(+11.3/-3.9)倍と考えられている。主星の質量はこの天体が低質量の恒星であることを示しているが、誤差を考慮すると褐色矮星である可能性もある。一方で、伴星の質量は惑星の範囲内にあるものの、一般的に受け入れられている惑星と褐色矮星の境界(木星の13倍)を超える可能性があるため、惑星と褐色矮星のどちらなのかはこちらも不確かだ。

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