GJ 1151 b 恒星と磁気相互作用をする地球型惑星

arXivにGJ 1151 の惑星についての研究が公開されている(https://arxiv.org/abs/2102.02233)。GJ 1151 は太陽系近傍にある赤色矮星(温度が低く小さい恒星)の1つだ。

GJ 1151は2020年にその磁場に関連すると思われる電波が検出されて以降、天文学者の注目を集めている。激しい活動性を示す恒星でこのような電波が見つかった例はあるが、GJ 1151は活動性が低い星として知られていたため、通常のメカニズムでは説明が難しい。そこでGJ 1151の周りに短周期の惑星があり、その磁場と恒星磁場の相互作用が電波の発生源となっているのではないかと仮説が立てられていた。これをもとにカナリア諸島のイタリア国立ガリレオ3.6m望遠鏡の分光器「HARPS-N」を使った観測が行われたが、惑星の検出には至っていなかった。

今回の研究では、テキサス州マクドナルド天文台ホビー・エバリー望遠鏡の分光器「HPF」を使って新たな観測を行った。これをHARPS-Nのデータと組み合わせた上で分析を行ったところ、惑星の存在を示す視線速度の変動が明らかになった。検出された惑星「GJ 1151 b」は、主恒星のGJ 1151から0.017天文単位(※1天文単位=地球と太陽の距離)しか離れていない軌道を2.018日周期で公転している。質量は地球の2.5倍以上で、地球型惑星(=岩石惑星)の可能性が高いと考えられている。

また、研究チームがNASAの系外惑星観測衛星「TESS」の観測データを調べたところ、GJ 1151 bのトランジット(惑星が恒星の手前を通り過ぎる現象)は見つからなかったものの、GJ 1151が約2日周期でわずかに変光していることが分かった。これも恒星と惑星の相互作用に関連しているのではないかと考えられている。


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