恒星と褐色矮星と惑星

恒星とは、その内部で継続的な核融合反応を起こす天体を指す。核融合を起こすために恒星の質量は太陽の約8%以上(木星の約80倍以上、地球の約2500倍以上)を要する。ここで起きる継続的な核融合とは、主に水素からヘリウムが合成される反応である。これより質量の小さい天体は亜恒星天体(褐色矮星、惑星、あるいはそれ以外の小天体)に分類される。

褐色矮星と惑星の区別はずっと曖昧である。一つの考え方は形成過程に基づいている。この考えは本質的だが、実用的ではない。別の考えは、ある質量を区切りとして機械的に惑星と褐色矮星を切り分けている。現在、国際天文学連合の定義では、後者の分類法が採られている。

形成過程に基づく分類

形成過程に基づく考え方では次のような説明になる。褐色矮星とは、「恒星と同様に」形成される天体で、継続的な核融合反応を起こす質量(太陽の約8%)に足りなかった天体を指す。恒星と同じメカニズムで形成されるのでその質量分布は恒星の質量分布と連続している。

惑星とは「恒星の周りで二次的に」形成される天体を指す。木星のような巨大惑星から地球のような小さい惑星まで存在する。その質量分布は恒星-褐色矮星の質量分布と切り離された、独立したピークを持つ。

この考えは本質的ではあるものの、現時点では実用的とは言えない。惑星と褐色矮星の質量分布は、その形成過程の違いを反映して、二峰分布を示す。これは実際に観測から統計的に確かめられている。分布の谷間には、比較的頻度は低いものの、天体が存在する。それらは巨大な惑星と小さな褐色矮星のどちらなのだろうか? 現在の技術では惑星や褐色矮星のような低質量の個々の天体についてはごく限られた情報しか得られない。それらの形成過程も完全には解明されていない。つまり、個々の天体について見た時、それがどのように形成されたかを判別することは難しい。多数の天体を対象とした統計では2つの異なるグループとして認識できるものの、個々の天体を分類する上では、この方法は実用的と言い難い。

質量に基づく分類

もう一つの分類は、便宜的だが実用的である。天体で「継続的な」核融合が起きるためには太陽の約8%以上の質量を要する。だがそれ以下の質量でも全く核融合が起きないわけではない。水素の同位体である重水素は、通常の水素より緩い条件で核融合を起こす。木星の13倍以上(太陽の1.4%)の質量があれば重水素の核融合には足りる。重水素は通常の水素と比べてずっと量が少ないため、天体が生まれてすぐに消費されつくされ、「継続的な」核融合にはならない。

この重水素核融合を起こせるかどうかの理論的な境界質量は、前述の二峰分布の谷間と概ね一致している。そのためこれを区切りとして機械的に褐色矮星と惑星を切り分けてしまおうという考えである。低質量の天体では、詳しい性質が不明でも、質量ならば測定されている、というケースは多くあるため、この方法は個々の天体を分類する上では実用的なものとなっている。

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