系外惑星KMT-2018-BLG-1025Lbの発見 低質量星を公転するスーパーアースか

arXivに重力マイクロレンズイベントを利用して太陽系外惑星を発見したという研究が掲載されている(https://arxiv.org/abs/2102.01890)。重力マイクロレンズイベントとは背景の天体の手前を別の無関係な天体(レンズ天体)が横切るときに重力による空間の歪みで2つの天体の合成光度が変化する現象のこと。この時の増光のパターンによっては、レンズ天体の周囲に太陽系外惑星が存在していることが分かることがある。

今回研究された重力マイクロレンズイベント「KMT-2018-BLG-1025」は、重力マイクロレンズを専門とする2つの観測プロジェクト「KMTNet」と「OGLE」で2018年に記録されたものだ。当該イベントを引き起こしたレンズ天体「KMT-2018-BLG-1025L」が惑星を伴っているとすれば増光パターンを説明できることが分かった。この惑星は「KMT-2018-BLG-1025Lb」と名付けられた。増光パターンに一致する状況は3種類あった。

恒星質が0.22太陽質量、惑星が6.1地球質量、距離が1.3天文単位

恒星質が0.08太陽質量、惑星が4.4地球質量、距離が0.51天文単位

恒星質が0.08太陽質量、惑星が4.4地球質量、距離が0.65天文単位

(※距離とは恒星と惑星の距離を表す。)これらのうちどれが正しいのかは、観測方法の性質上分かっておらず、今後分かる見込みもない。また恒星質量や惑星質量には相対誤差で+150%/-50%程度の非常に大きな不確かさがある。

いずれの状況でも、惑星はその質量が地球質量~天王星質量(地球の14.5倍)の間に収まる広義の「スーパーアース(※質量に基づく分類で岩石惑星とは限らない)」に該当すると見られている。研究の著者らによれば、重力マイクロレンズ法で発見されたスーパーアースは今回が11例目だという。


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