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なぜ人は「クロノ・トリガー」を愛し続けてしまうのか

スーパーファミコンという言葉、RPGという言葉を認識するたびに必ず心の深いところから蘇る、あの日僕たちは世界を救ったのだという強い記憶。
あの日(1995年3月11日)からすべてのゲームは否応なしに「クロノ・トリガー」と比べてどうなのか、という軸で見られることになってしまった。
スーパーファミコンの思い出を語るうえでは避けては通れない作品であり、何回プレイしても新しい発見があるこの名作を、再び皆さんが思い出すきっかけの一つになれば良いと心から願う。

なお、ここではSFC版クロノ・トリガーに絞る。クロノ・クロスももちろん名作なのでいつか同様に記事として触れたいが、この二つは旧劇場版とシン・エヴァくらい違うので今回は割愛とする。
当たり前だが強いネタバレ及び強く偏った嗜好が含まれているため、未プレイの方は読むのを控えていただきたい。

ストーリー(概要)

RPGといえばストーリー、今風に言えばナラティブが非常に重要な要素を占める。どんなにすばらしい音楽やシステムを取り入れてもストーリーが「昔一緒に銀行強盗をしたやつと再び銀行強盗する」ではプレイヤーも感情移入しにくいというもの。

安心してほしい、クロノ・トリガーではそんな心配は一切ない。
プレイ開始時から母親に起こされて、リーネの鐘が良く鳴っているところからスッと千年祭に集中できるように工夫されている。
後はお忍びで来ている姫様とぶつかって、タイムワープして、なんやかんやあったのちに世界を救うことになるだけなのだ。
基本路線は地球を破滅させようとしているボスを各時代を旅したのちに倒す、というのが本筋である。
そこに至るまでに登場するキャラクターそれぞれの掘り下げ、付随するサブシナリオ、鳥山明作品には必須であるオカマキャラなど多くの要素が詰め込まれている。
ストーリーが進む度にセーブ時のタイトルが更新されていくのも良い。25タイトルほどになるが、1タイトル平均1時間で終わるので、時間制限のある家庭でも毎日切り良くプレイして1か月で完了する。
必死に雨が降るのを待ちヌゥを狩る作業に熱中しなければの話だが。

進めていく中で、個性豊かな色々なボスとも戦いがあるのだが、ほぼ全てにラスボスである「ラヴォス」が関係している。だが、それに気づくのはすべてをクリアして、10年ぐらい経ってからなのだ。小学生には難解すぎるバックグラウンドがしっかりと作りこまれている。
浅い理解力のものには単純に悪者を倒すゲームにしか見えないが、何故プレイするキャラクターたちはラヴォスを倒そうとしているのか、その理由にこそこのゲームの本質が存在しているのだ。

各時代(過去、現在、未来)それぞれのキャラクターたちが、星に寄生して進化を遂げたラヴォスに対して、人としての願い・想いをぶつける最終戦は何度思い出しても史上に残る最高の戦闘だった。。。

ただ冷静に考えるとラヴォスからしてみたら「飯食ってたら怒られたわ」ぐらいの感覚なので、ラヴォスに感情表現の手段が無くて良かったとも思う。
某ダオスみたいに別の正義があるんだ、みたいな難しい話になると途端に全体が変わってくるからね。
正義の反対はまた別の正義なのだ、という深いナラティブが好きな方は迷わずクロノ・クロスをプレイしてほしい。

システム / グラフィック

かなりシンプルなRPGのシステムとなっている。

キャラの装備は当時の流行をそのまま押さえており、武器 / 防具(体)/ 防具(頭)/ アクセサリー という4つと自身のレベルでステータスが決まる。(より正確には能力値アップのアイテムも存在する。)

戦闘自体も小難しい要素はあまり無く、通常攻撃か技(魔法)、アイテムの使用を選ぶくらいである。
戦闘で注目すべきは何といっても「ATB(アクティブタイムバトル)」... ではなく、連携技である。ATBは知らなくてよい。
基本的には3人で戦闘するのだが、キャラクターが行動するには時間経過によってゲージが溜まった後に行動を選択することになる。
この際に他の味方も行動できる状態になっているとキャラクター同士でコラボした「連携技」を放つことができる。
この演出が中々に派手で、見ていてとても気持ちが良いものになっている。
威力も連携のもとになった技から少し上がっているので、タイミングが合えば連携技を放つのが良い。
お気に入りは「反作用ボム3」と「ミックスデルタ」である。
異論は認める。
後は「Wいろじかけ」。ドット絵による妄想の余地を最大限に活かした連携技だ。そりゃ敵もアイテムの一つや二つ払わないといけないわ。

グラフィックについてだが、大きく全体マップと町や洞窟といったフィールドマップに入った場合で変わる。全体マップ画面は赤星湖みたいなざっくりとしたグラフィックだが、フィールドマップはドット絵の特徴を生かしたきれいな背景が描かれている。もちろん敵も含むキャラ全般も素晴らしいドット絵だ。動きも素晴らしい。

システムで見逃せないのは、現在は割と普通だが当時は画期的なシステムであった、一度クリアするとステータスや装備をそのままでまた初めから遊べる「強くてニューゲーム」という遊び方ができる。
これを強く活かしており、「強くてニューゲーム」ではどのタイミングであってもラスボスを倒すことができるようになる。
倒した時点でどこまでシナリオを進めたかによって、エンディングも変わるのだ。


中にはふざけた、、、もとい遊び心が詰まったエンディングもある。

お気に入りはやはり「開発室(ドリームプロジェクト)」。
世界観はぶち壊しだが各スタッフのコメントを見ることができる。それぞれ特色があって非常に面白い。だがリセット テメーはダメだ。

エンディングの中には人にとってはあまり幸せにならないものもある。
このゲームはあくまで悪者を倒すだけの勧善懲悪ものではなく、「星はかつて、夢を見た」のキャッチコピー通り、プレイヤーの行動によって世界(星)がどのような変化を遂げるのか?に着目していることがわかるだろう。

音楽

最高の一言である。
「風の憧憬」はいわずもがな、「ガルディア城~勇気と誇り~」や「ラストバトル」も熱い。
シナリオや時代に合わせて、音色に特色を持たせた曲が再生されるため、時代を旅するという体験をより強く印象付けする役割を担っている。

(なぜか風の憧憬は何人かのアーティストがカバーしている。清水翔太のカバーはまだわかるが、shampooはちょっと理解が追い付かなかった。フレグランスが特殊すぎるよ。でも多分清水翔太の曲よりshampooのほうが聞いた回数多い

細かいSEもよい。セーブポイントに触ったときの音、魔法を放つ音、ロボが体当たりする機械音、、、豊富なSEが探索や戦闘への没入感を高めてくれる。

どうやってこんなに豊富な効果音・曲をSFCのカセットに入れ込んだんだ?と思うぐらい特色ある曲ばっかりである。
なお、音楽と物語がマッチしすぎていて聞くたびに思い出が蘇るため作業用BGMとしては非常に向かない。
さすがに未プレイの人に音楽だけ聴かせてもあんまり良い感想は出ないだろう。曲単体でも良いが、そこに付随するプレイヤーの体験が乗っているからこそのゲームサウンドである。

どうやってプレイするの?

もう一度プレイしたいという人にどのようにプレイするのが適切か?
公式では20210722時点で、steam / iOS / Androidがあるようだ。
https://www.jp.square-enix.com/game/detail/chronotrigger/
ただし、iOS/Android版はお勧めできない。操作性に難があるからだ(体験済み)
ナラティブに没入するにはやはりスマホでは足りないのだ。
できれば実機またはsteamでプレイしてほしい。

任天堂さん、後生だからSwitch Onlineに「クロノ・トリガー」を追加してください!

攻略

右が本体だよ

参考文献

いくつか記憶を思い出すために下記の文献を利用した。
クロノ・トリガーを愛するものたちへ心からお礼を申しあげる。

https://www.famitsu.com/news/201904/22175223.html

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