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シナリオブックでふりかえるドラマ「silent」

ドラマの最終回が終わって2日後のクリスマス。プレゼントが街にやって来た。

シナリオブック完全版。

言葉を大切にしたドラマだった。

聴者とろう唖者と若年性難聴により両方の立場を合わせ持つ青年と周りで支える家族や友人たち。

手がふさがると手話が使えず会話ができないからと、かわいい鞄さえ持てない女性の悩みなど、ハッとさせられるシーンも多く、僕は毎週どっぷりとハマり、泣いていた。

そんな言葉の大切さをテーマにしたドラマの脚本を買わないわけにはいかない。

まだドラマを見ていない人には申し訳ないけど、ここからは僕が印象に残ったセリフを第一話のみ限定で紹介していきます。ちなみに原文表記はそのままにしてあります。

僕の感想も交えながら。

紬モノローグ
「好きな声だった。好きな声で、好きな言葉を紡ぐ人だった」

→今から考えると、これが全てのようなセリフですね。

「今思うと、学校っていうのはすごい場所だった」
「嫌でも週5で行く場所で」
「嫌でも週5で、好きな人に会える場所だった」

「卒業まで、あと何回名前を呼べるだろ。このまま、友達のままだったら、あと何回だろ」

高校時代のクリスマスに想と紬はプレゼントを交換する。
予算だけを決めた二人のプレゼントは色違いのイヤホンだった。

そこで紬のモノローグが入る。
「ほんとに交換しただけだねって言って、笑った」

→これが最終話のカスミ草を渡し合うセリフとつながる。憎い。

バイト先から湊斗へ電話する紬。つながらない様子の紬に上司のゆかこが問いかける。

ゆかこ「なんか急用?」
紬「いや、ただの次会う約束なんで、LINEでもいいんですけど。私、電話派で。電話好きなんです。声で話すほうが楽だし」

→まさかこれから会話を交わせない元カレに出会うとは思ってもいないセリフ。そして、声というものを考えていく上でも印象的。

ゆかこに湊斗はどんな彼氏と聞かれ答える紬。

「優しい人です。なんかもう主成分優しさって感じの人で」
「怒らないんです。怒ったとこ見たことなくて。人のために優しさ全力で使っちゃって、自分の分残すの忘れちゃう人で」

→こんな人存在するのかと思うくらい回を重ねるごとに優しさを見せる湊斗くんの人となりを説明しているセリフ。本当どこまで優しいんだ、チミは。この後、ゆかこが「生きづらそうだね」というセリフも印象深い。

高校卒業後、一方的に病気のことも告げられず振られた紬は、偶然改札で見かけた想への思いを語る。

紬モノローグ
「もう一度、話したかった。卒業したあと、元気だったのか、それだけ知りたかった」

居酒屋で偶然知り合った春尾が手話の先生だと知って話しかける湊斗。

湊斗「(なんの気なしに)なんか、人が良さそうですもんね」
 春尾、表情が曇って、
春尾「そういう刷り込みがあるんですよ。偏見というか」
湊斗「・・・・・・?」
春尾「手話。耳が聞こえない。障がい者。それに携わる仕事。奉仕の心。優しい。思いやりがある」
湊斗「・・・・・・」
春尾「絶対良い人なんだろうなぁ、って、勝手に思い込むんですよ。へらへら生きてる聴者の皆さんは」

→いきなりブラックな春尾のセリフはびっくりしましたね。第8話までは春尾の闇の部分は描かれず、ずっと気になっていましたが、奈々との学生時代のお付き合いが、想と紬の関係に重なっていく頃にはどっぷりとハマっていました(笑)

考えてみれば、ただのゆきずりになるかもしれない湊斗にこんなにストレートに心情を吐露する春尾は、同じ聴者の誰かに聞いてもらいたかったのかもしれませんね。居酒屋というリラックスした場所がそうさせたのでしょうか。

春尾が湊斗に手話教室のチラシを配り、受け取る湊斗のセリフ。
「・・・・・・できれば、覚えたくないですね」
「(涙ぐんで)・・・・・・・また普通に話したいです」

→現実を受け入れられない湊斗。彼は最後まで手話を覚えないわけですが、それでも想と心を通い合わせ、また親友に戻っていく。言葉では表現できない思いを想にまっすぐにぶつける彼の姿はあまりに純粋で泣きっぱなしでした。

この後、紬は想とまた再会します。動揺して逃げるように離れる想を紬が声を出して追いかける。諦めた想がすごい剣幕で伝わるはずのない手話で別れた事情を話し出します。

想「(手話で)何言ってるか、わからないだろ?」

想「(手話で)俺たち、もう話せないんだよ」

紬「待って・・・・・・・」
 想、紬の手を振り払う。

紬「・・・・・・・」

想「(手話で)うるさい」

紬「・・・・・・・」

想「(手話で)お前、うるさいんだよ」

→このセリフも話題になりましたね。伏線がすごいんですよね。

さらにこの様子を離れたところから見ている奈々。手話が分かるから距離があっても分かってしまうという演出。

すごいよ、silent。なんで終わってしまったんだよ。

年末の一挙放送は関東ローカルのみだとか。

関西もやってくれよ!

木曜日が来る度にロスる僕の心の叫びです。

プロデューサーの村瀬さんは脚本家の生方さんの才能に惚れ込み、デビュー作にも関わらずノベライズではなく、脚本そのままの形で出版する運びとなりました。

巻末にはお二人の対談も載っています。

シナリオブックで振り返るサイレントも素敵ですよ。声を出さずにはいられないですけどね。気になった方はぜひお買い求めください。

窓越しに話せる手話ってかっこいいな。

最終回の魔法のコトバはやはり載ってなかったです。

シナリオブックより

ちなみに僕は手元に置いて何度も読み返したいので紙書籍で買いました。

図書館の本のようにビニールコーティングもしたので、ずーっと読めます。(手話で)ずーっと。

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