Switch版factorioを初めてやってみた。
世の中には決して手を出してはいけない中毒性の高いゲームがある。
古くはテトリスに代表されるパズルゲーム。
あなたも電車の中で無意識に忙しなく指をスマホ上で動かす光景を見たことがあるだろう。
目標をセンターに入れてスイッチ。
あるいは、あなた自身も夢中になって無限に繰り返される単純作業に没頭するあまり電車を乗り過ごした経験がおありではないだろうか?
factorioはその名前からも想像できるようにfactory(工場)のラインマネージャーになるゲームだ。
設定としては、惑星に不時着し、脱出ポッドに命を救われた主人公がテラフォーマーズよろしく未知の生物を撃退しながら、ロケットを製造して飛び立つという大筋である。
しかしその実は、街作りシミュレーションゲームのように鉄道を走らせ、限られた資源を最大限に活かし、Dr.ストーン風に次々と科学技術を具現化させるマイクラやテラリア要素がふんだんに盛り込まれた作業ゲーなのである。
プレイヤーは、始めこそ非力な機械しか作れないものの、いつしか複雑な機械を整然と設置していくうちに、チャップリンの『モダンタイムズ』のように自らが産業革命の歯車の一部に組み込まれるような錯覚に陥る。
効率性を重んじ、幾重にも張り巡らされた製造ラインを描くようになれば、サンドピクチャーや砂時計を眺めるような規則性のある流れを見つめつつ、蟻地獄から抜け出せない主人公が砂の女に魅入られてしまったような非日常の怖さに直面することになるだろう。
幼き頃に蟻の集合体に水を流し込んで溺れる様を冷徹に見下ろす、抗いようのない習性が内包された作品というのは言い過ぎだろうか。
永遠と続くドミノ作業。
直しても直しても尽きることのない悩み。
偉大な作曲家が交響曲を作る苦悩にも似た思考の痕跡を打ち寄せる波が消し去り、枝が折れても描き続ける悲しき性。
たとえゲームから離れて日常生活に戻っても、ワイパーやメトロノームの動きに苛まれるようになれば、あなたはすっかりバーチャル機械工の一員だ。
完璧主義な人ほどどっぷりと沼に浸かり、あなたの貴重な時間を侵食していくだろう。
デスカウントのタイマーは確実に早まり、焼却炉につながるコンベアに載せられていると自覚した時にはもう遅い。最期のボタンを押すかどうかはあなたしだいだ。
以上が、ただ体験版をかじっただけでも想起される率直な感想であった。
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