あの頃、販売員の僕にとってGWは楽しいイベントだった。
販売員の僕にとって、年末年始、お盆、ゴールデンウィークは大型連休ではなく、大型連勤であり、稼ぎ時ではあるけれど、世間のみなさんを羨ましく思う時期でもあります。
しかし、去年も今年もゴールデンウィークは自宅待機を余儀なくされ、ある意味で大型連休を体験することになりました。
学生以来だから、もう何十年ぶりの体験だろう?
今では違うお店に異動して、あいにくの状況下だからできなくなってしまったけど、ゴールデンウィークは連日いろんなワークショップを開いていた。
そこでは、手先が不器用な僕が事前に練習したいろんな手作りイベントをさもできる人のように振舞いながら、お客様にレクチャーする。
始めの頃は、時間管理もうまくできないし、説明も下手でそれぞれのペースに振り回されて、余裕が無かったけれど、場数を踏むうちに、だいぶ周りが見えてくるようになった。
大体6人くらいのお客様がテーブルを囲み、僕の説明に従って簡単に手作り作品を楽しむ。
おひとりさま、カップル、親子連れといろんな人がいるけれど、みんな楽しもうと思って参加しているので、クレームになる事も無い。
マニュアルに従った簡易な手作りキットみたいなものが多いのだけど、手先の器用な人は同じ作品とは思えないアレンジを加え、共に学び、反省点も含めて次回のイベントに活かしていく。
時々、子ども達に「せんせー」と呼ばれ、
あっ、そっか、この子達には僕は先生に見えるのか、と戸惑いつつ、内心照れながら嬉しい気持ちになる。
あの頃、お客様以上に楽しんでいたのは僕だった。
準備は大変だけど、お客様の笑顔を見ながら、互いに作品を褒め合い、販売員では味わえない接客の楽しさを知った。
バルーンアートを覚えて、子どもの日に店の入り口で配ったら、子ども達に囲まれて、指が痛くなるくらい風船を作った事もいい思い出だ。
人と人との接触がこんなにも貴重な体験になるなんて。
あの楽しそうな笑顔に出会うのはいつになるだろうか?
もしもまたワークショップができる立場になったら、僕は誰よりもイベントを楽しんで、たくさんの笑顔に触れたい。
僕には世間並みの大型連休はいらない。
連休を楽しんでいるお客様をもっと楽しい気分で帰ってもらうのが販売員の喜びである事を今さらながら気付いた連休です。
来年のゴールデンウィークは楽しめるだろうか。
ありがとうございました。またどうぞお越しくださいませ。
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