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誰も知らない高橋大輔さん。

今日は何がなんでも書かなければいけない。そう思いながら、いろいろ考えているうちに、あっという間にこんな時間になってしまった。

まず言いたいのは、

みなさん、まもなく19時から始まる全日本フィギュアスケート選手権にあの高橋大輔選手が出ますよ!!

という事です。

この記事を目にした人がすでに終わってしまってるなら、

日曜日のフリーは必見ですよ!!

という事です。

それくらい今日の大会は熱い!!!

もちろんあの羽生選手も出場します!

前回の全日本選手権では、グランプリシリーズ・ロシア大会で右足首を負傷した羽生選手は欠場となりました。そして宇野選手、今夜いよいよ三人の戦いが実現します!まさかまたこんな大会が見られるとは!!

話は変わりますが、昨夜、去年放送されたドキュメント番組が再放送されていました。

僕は以前の放送を見てはいたのですが、高橋選手がアイスダンスに転向する最後の大会出場の直前という事もあり、さらに、見ていて胸が熱くなりました。

調べてみるとこの放送のブルーレイの他にも、10月に本が出ていましたので購入し読んでみました。

あまりこういう言い方は好きではないのですが、高橋大輔さんと織田信成さんは僕にとっては大学の後輩に当たるので(年齢も全く違うのでただの偶然)偉大な二人の動向は気になります。織田さんは関西ローカルの『よ〜い!ドン』で週一で見かけるので近況が感じられますが、高橋さんは今は現役の選手なので、フィギュアの大会を通してしか分かりません。

そこで、今回は番組と舞台裏とも言える本の感想を語りたいと思います。少し長いですが、お付き合い頂けると幸いです。

ところであの高橋選手を知らない人に彼の功績を伝えますと、

2010年 バンクーバー五輪銅メダル
2010年 世界選手権金メダル

いずれも日本男子フィギュア初の歴史的記録を納め、2014年10月14日に引退しました。男子フィギュアを現在のような人気に押し上げたのは間違いなく彼の功績と言えるでしょう。

そんな彼が現役復帰をしたのは去年7月、32歳のこと。実に4年の歳月が経っています。ゼロからのスタートを切った彼は、地方大会から勝ち上がり、4ヶ月後の全日本選手権で、ショート88.52、フリー151.10、合計239.52で、優勝した宇野昌磨選手に続いて第2位という好成績を納めます。

本の著者である関西テレビの居川大輔(同じ名前ですね)さんは、高橋選手より一回り上の年齢で、出会った時は野球担当をしておられました。でも、当時のフィギュアスケートは女性が花形。

本の中でも、

日本の男子フィギュアスケート界をリードし続けてきた男に謝らなければならない。私はそう感じた。何を隠そう私自身、彼と初めて出会ったときにはまだフィギュアスケートを「女子のスポ ーツ」として見ていた部分があったからだ。自分の見立てが間違いすぎていて、ちょっと恥ずかしくなった。こんなに人懐っこいアスリートとは思わなかった。

と語っておられます。

現役選手に復帰すると知った居川さんは、高橋さん引退後の4年間にディレクターからプロデューサーになっていました。高橋選手の現在の姿を追いかけるにしても、現場に戻らず、若手に託す事もできる立場です。

しかし、彼は自分以外にそれができる者はいないと決断し、自ら現役に戻り、復帰会見に臨みます。なぜなら居川さんは高橋さんを一人の人間として尊敬しているからです。本の中では愛情あふれる描写がたくさん出てきます。

Kindle書籍のサンプル版でも読める記者会見の中から、高橋選手の発言を抜粋してみます。

現役を引退してから4年間、ニューヨークに行ったり、テレビの仕事をさせていただいたりするなかで、たくさんの方とお会いしました。第一線で活躍されている姿や自分のやるべきことを全力でなさっている姿を見ながら、自分の中で 「これが本当に自分のやりたいことなのか 」という気持ちが、徐々に大きくなってきました。


僕は世界を目指して、世界と戦うためにスケートをやっていました。そして、勝てないのであれば現役をやるべきではないと思っていたんです。でも、全日本選手権では、それぞれの選手が、それぞれの目標を持って試合に向かっていた。結果を残すために、自分自身を追い込んで奮闘していた。そういった姿を見て、感動したんです。そんな風に、それぞれの思いの中で戦うというのもいいんじゃないかと思いました。


自分自身が「次 」に進むためには、もう一度 〝現役 〟という形で納得する必要があるのではないか。そう考えたのも、現役復帰という決断に至った理由です。改めて思ったのが、やはり自分にはフィギュアスケートというものが軸にないとダメだということです 。そうでなければ、今後の人生を歩んでいく上で、自分らしく過ごせないと感じました。

現役という 〝縛り 〟を課してスケートと向き合って過ごすことで、僕は自分のスケートが取り戻せると確信しているんです。勝つための現役復帰というよりも、自分のスケートと向き合って取り戻すための現役復帰というか。

不安な気持ちはもちろんありますが、楽しみな気持ちのほうが強いです。若いチャレンジャーとは違って、失うものは何もありませんから。勝てなくて当たり前で、勝てればラッキーかなと(笑 )全盛期と比較して、ガッカリされてしまう可能性もなくはないですよね。でもフィギュアスケートの「表現」という部分は、年齢に関係なく成長できると思っています 。好みや感じ方は人それぞれですから、昔のほうが好きだと思われても仕方ない。でも、今のほうが素敵だと思ってくださる方もいるのではないかと。何かを失ったとしても、その先に得るものは絶対にあると思います。

国際大会に出られることになったとしても、自分が出るべきなのかどうか考えるでしょうね。これから世界に羽ばたこうとする後輩スケーターたちを 、自分のエゴやわがままによって邪魔してはならないという気持ちもあります。

この発言通り、実際にその後の記者会見で 、髙橋大輔は世界選手権や四大陸選手権の代表を辞退する発表を行いました。後輩を思う彼の優しい気持ちが伝わりますね。

高橋選手を語る上で僕が忘れられないのは、2013年12月に行われた全日本選手権です。結果5位に終わった彼は試合後、次のように語りました。

「自分の演技ができなかったので・・・。そのできない中でも最後まで応援してくださったので、それが本当にうれしくて。まあ、これで最後の演技になるかもしれないなと思ったら・・・。今までありがとうございましたっていう気持ちで。ちゃんと前を向いてやっていなかった結果がこれだなと思うので、この演技を深く受け止めていきたいと思います」

このインタビューの翌日、観客は歴史的な瞬間に立ち会います。

あの時の緊張感は本当にすごかった!

その様子は本の中では次のように描かれています。

ソチ五輪の代表選手発表。「羽生結弦」「町田樹」と、事前から想定されていた名前が読み上げられる。残るは1枠。一拍の間を空けられた後に読み上げられた名前は「髙橋大輔」だった。会場全体から、割れんばかりの大歓声が沸き起こる。

思わず涙する高橋選手の姿に、僕ももらい泣きしてしまいました。


本の中では現役復帰を目指す彼の奮闘ぶりが居川さんの目を通して克明に描かれます。氷に1日乗らなかったら、感覚を取り戻すのに3日かかるというフィギュアスケートの世界において、いくらアイスショーに出ていたとは言え、超ハードな練習をこなしているんでしょうね。

番組の中でも復帰後の練習で何度も転倒する姿がありましたし。

羽生結弦さんは確かにすごいです。

ド素人の僕には文章でその演技のすごさを表現する事はできませんが、こちらの本を読めばそれがよ〜く分かります。

かつて異次元の演技と評され、世界最高得点を叩き出した彼も、今やネイサン・チェンさんを追う立場となり、数々の奇跡を見せた過去の栄光にすがる事なく、常にライバルを、何より自分の理想とする演技を追い求める姿には毎回感動してしまいます。

しかし、高橋さんの演技は、自分を見つめ直す事への挑戦です。あさってのフリーはあいにく仕事なので、リアルタイムで見る事はできませんが、彼の最後の演技を見て、きっと僕は泣いてしまうでしょう。

いや、見る前から想像するだけでもう泣いているんですけどね。

僕はこれからも彼の最後の演技を何かの折に見返して、生きていく勇気をもらうだろうと確信しています。かっこ悪い姿がかっこいい、高橋選手はそう思わせる数少ない選手の一人です。

彼が言う、「オレだけおっさんやん」は、今日もまた氷の上で多くのファン達へ、おっさんとは思えないラブを振りまく事でしょう。

追記:ショートは、羽生くんも宇野くんもぶっちぎりですごかったですね!

結果は、羽生さんが国内大会のため非公認ながら世界最高得点をマーク。

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高橋選手は、若手選手が並みいる中でフリーに進む事ができただけでも奇跡だと思います。何より生き生きした表情が印象的でした。

フリー演技の終了後は、やまない大ちゃんコール。立って拍手の嵐!

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そして高橋さんから長光コーチへ花束。

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本当にお疲れ様でした!!

これからは高橋選手の一ファン。

長光コーチは一生のコーチ。

どちらも泣かしますね。






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