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論語をちゃんと読んだことはありますか?

皆さんは古典を読まれますか?

「温故知新」とは論語の為政の章にある有名な言葉で、おそらく国語の授業で学ばれた方も多いと思います。

原文は

古きを温ねて新しきを知る。以って師と為るべし。

意味は、昔のことをよく研究してそこから現在や未来に役立つことを学ぶと人の師になれる、です。

ということで、先生にたる資格を説いた、昔のものから学びましょうと言う意味で広く知られています。

古典を読むというのはまさしくこの古いものから学ぶと言うことです。

論語を支える大きな思想は儒学ですが、論語は孔子が言ったことを弟子たちがまとめた言行録です。

今から2500年前の孔子が生きた時代は漫画キングダムで有名な春秋戦国時代です。

その頃いろんな学者が様々な意見を発表しました。

いわゆる諸子百家ですね。

孔子の説く儒学は、戦乱の世の中ではウケなかったそうです。

では何がウケたかと言うと、孫子です。つまり兵法書ですね。そりゃそうか(笑)

現代でも孫子の兵法と言えば、ビルゲイツや孫正義さんなどビジネスの戦略書として人気を博しています。

孔子の儒学を否定した老子の思想は道教と呼ばれ、日本に入った仏教にも影響を与えています。

論語の教えは中国よりもむしろ日本で浸透しています。

例えば、目上の人を敬いましょう。

人に思いやりを持ちましょう。

といった礼や仁と呼ばれる精神に見る事ができます。

さらに中国ではほとんど読まれずに日本で人気の古典としては、『菜根譚』さいこんたんがあります。

著者の洪自誠こうじせいは、今から約400年前の日本で言うと豊臣秀吉や徳川家康の時代に生きた人で、人生の書として1800年代に日本中に広まったと言われています。

『菜根譚』が他の古典にはない大きな特色としては、儒教、仏教、道教と言う3つの教えからいいとこ取りをした教えであり、このことは諸外国から様々な教えをうまくアレンジして取り入れる日本人の気質にぴったりだったと言えます。

『菜根譚』に大きな影響を受けた人を挙げると、田中角栄さん、松下幸之助さん、吉川英治さん、野村克也さんなど、現在も菜根譚の書店コーナーに行けばたくさんの本が並んでいるほど人気があります。

そこに書かれているものは、自分の人生をどう生きるかといったアドバイスや組織のリーダーとしてどうあるべきか、人との付き合いは何を心がけるべきかなど、様々です。読んだ人の数だけ気づきがあります。

古典ですから今の時代から見ると古いと思われる価値観もあります。

例えば、物を作れば売れるのが当たり前だった昭和の時代は、会社に奉仕していれば一生食べていける年功序列、リーダーの命令には絶対服従、学歴偏重による派閥があるのが普通でした。

今なら、モラハラパワハラセクハラやコンプライアンスと呼ばれるものは問題視されていませんでした。

けれども今の状況下では、労働というものに対して人々の意識はどんどん変わっています。

個性が重視され、自分の時間と労働時間とのバランスを考える若者が増えていますよね。

しかし、古典というものは、時代を経て語り継がれてきた内容であり、そこに書かれている内容には普遍性があります。

古典を読むと今も昔も人間として変わらない部分があることに気づかされます。

先ほど古典は読む人の数だけ気づきがあると書きましたが、それはつまり今を生きている人のフィルターを通して応用が効くと言う事でもあります。

そこで誰かの解釈から学ぶことも有益ですが、もしも古典を知るきっかけができたのなら、僕はぜひ原文に当たって欲しいなと思います。

ただし、原文といっても漢文は現代人にとっては異国の言語ですから、なるべく原文に忠実な癖のない現代語訳を読んで欲しいのです。

個人的にオススメなのが、最近出された野中根太郎さんの全文完全対照版シリーズです。

原本は既に岩波文庫や学術文庫で出ていますが、ちょっと現代人には難しい表現が多くて読みにくいので、まずは基本書としてオススメします。

野中さんの解釈はほとんどありませんが、注釈には他の古典との比較や考察があり、学びは深いです。

今回の音声配信では、野中さんの訳された『論語』を参照しながら、僕の心に響いた言葉の数々を拙いながら独自のテーマ別に一気に紹介したいと思います。

そして、もしほんの一つでもあなたの心に響くことがあれば、ぜひ自分の目で読んで、あなただけの言葉で誰かに紹介してみてください。

そんなきっかけになれば僕はとても幸せです。



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