曲分析~マリーゴールド(あいみょん)
今日から曲分析をノートに書いていく。
作曲家の内山敦支さんが書かれていたノウハウを参考にやっていこうと思う。
曲分析することで、感覚的な音楽が、理論的にも説明できたら面白い。
僕みたいな素人でも、ヒット曲の特徴を掴んでいければ、言葉で曲の良さを説明できるかもしれない。単純に楽しそうだから、とりあえずやってみる。
第1回はあいみょんの『マリーゴールド』
これは完全に直感で選んだ。
この時代に分析するなら間違いなくこの曲からな気がした。
①キー(調)=Dメジャー
メジャーとは長調。簡単に言うと、明るい曲調。
調とは、その曲の基盤、コンセプトのようなもの。
つまり、この曲は基本的には明るいテーマの下で進んでいき、ところどころに切なさや憂いのような成分もあるといったイメージ。
②構成
イントロ→Aメロ→Aメロ→Bメロ→C(サビ)
Aメロ→Aメロ→Bメロ→サビ (2番)
Dメロ→間奏
落ちサビ※→大サビ→アウトロ
※落ちサビとは、最後のサビ前の静かなサビのこと。
割と一般的な構成である。
Aメロについては同じフレーズを2回繰り返している。
Dメロは『遥か~遠い場所にいても繋がってたいな』
『ああ、二人の想いが同じでありますように』の部分。
これは2番のサビに間髪入れず始まるので、スピード感があります。
間奏の後にDメロというパターンが多いので、ここが個性的かもしれない。
③コード進行
Aメロ D→A→Bm→A
Bメロ Bm→F#m7→G→A
サビ D→A→Bm7→A
G→F#m7→Bm7→G→A→D
各パートとも、全て頭のコードがトニック(落ち着き)となっている。(D,Bm,)
特殊なコードなどは使わず、教科書通りのコードをきれいに並べているといった印象。
当たり前に見えるが、小細工なしの基本技だけで完成度を高めるのは難しいはず。
サッカーでたとえるとイニエスタのよう。
④各パート(A,B,サビ)の歌いだしとメロディのタイミング
Aメロは伴奏が入ってから、「風の強さがちょっと~」と遅れて入ってくる。
Bメロ、サビは伴奏と同時に始まっている。
伴奏と同時に入るとスッキリした印象があるし、流れとしては心地よい。
逆に、Aメロは一拍遅れて入ってくることで一瞬の空白が良いリズム感を生んでいる。
個人的なグッドポイント
サビの「そっと ぎゅっと」がコード進行も歌詞としても大好き。
「そっと」がF#m7で「ぎゅっと」がBm7ですが、どちらもマイナーセブンスの響きなので切ないし、短い言葉でコードが切り替わるので「そっと」も」ぎゅっと」もそれぞれが強調される。
また、あいみょんの「ぎゅっと」の言い方が”しっかり抱きしめる”ピュアな少年を空想させられるのが良い。
この曲が良い理由の分析
・イントロのエレキギターの音色がノスタルジック(懐かしい感情、どこか遠くに思いを馳せる感覚)になる
・あいみょんの声質の深さ、芯の強さとそれを活かしきったキー設定
・全体のテンポが一貫してゆったりなので歌詞が入ってきやすい。
分析してみての考察
この曲はとにかく王道のJ-POPだと理屈でも理解できた。
コードの進行、メロディのキャッチーさ、ゆったりなテンポによって老若男女問わず聴けるバラードに仕上がっている。
ただ、これが高めの女性の声でなく、低めで芯の通ったあいみょんの声であったことが大きい。
あいみょんの男性的魅力もある声質によって、主人公の少年像がイメージしやすく、感情移入しやすいからだ。
しかし、改めて思うがこの曲に強烈なインパクトがあるかといわれるとそうではない。
初めて聴いたとき、「キャッチーなメロディーと歌詞だなあ」くらいにしか思っていなかったから、ここまで大ヒットするとは驚きだ。
この間、あいみょんがインタビューで「私の曲はマジで瞬発力ないんですよ。聴いてるうちにじわじわ耳を蝕む系?ですかね」
と語っていたが、とても腑に落ちた。
聴けば聞くほどその世界観が癖になっていく。
今後も、あいみょんの曲に耳を蝕まれていこう。
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