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ROICツリー、経営と現場をつなぐ財務分析ツールとしての活用

毎度エクセルで様々なデータ分析を行っているエクセルベースです。
突然ですが「ROICツリー」をご存じでしょうか?

ROICおよびROICツリーとは?

そもそもROIC(Return on Invested Capital)とは、「投下資本利益率」とも呼ばれる財務指標の一つです。企業が事業活動に投じた資本に対して、どれくらいの利益を生み出したかを示しています。
つまり経営者や投資家にとって、企業の稼ぐ力を判断するうえでの大事な指標となるわけです。

そしてROICは「売上高営業利益率」や「投下資本回転率」に要素分解でき、それら指標はさらに「販管費率」や「運転資本回転率」といった具合にどんどん要素分解していくことが可能です。このROICの要素分解の過程を可視化したのがROICツリーです。

キャプチャ

ROICツリーが経営と現場をつなぐ理由

ではなぜ、このROICツリーが経営と現場をつなぐ財務分析ツールとして活用できるのか、それはこの要素分解の過程にあります。

もし、とある企業の現場社員が、経営陣や投資家から「企業の稼ぐ力を高めよ!」あるいは「ROICを改善せよ!」と言われて、適切な改善行動をとれるでしょうか。難しいのが容易に想像できます。

一方でROICツリーを活用して、ツリーの最上層にあたるROICの向上という経営目標を、より下層の各種指標に分解していくと、現場社員でもイメージしやすい具体的な指標となります。
そして、それら指標ひとつひとつに対して、改善のための具体策を設定すれは、現場社員が取り組むことが可能です。

例えば以下の例では、ROICツリーで各種指標の計画値を示し、その達成のための具体策をツリー右側に「成功要因」として併記しています。

ROICツリー

すると、現場レベルでの改善活動がツリー最下層の指標を向上させ、それがさらに上層の指標にも影響し、最終的にはROICの向上という経営の最終目標にまでフィードバックされるわけです。

つまり、これがROICツリーがもたらす経営と現場をつなぐ理想的なサイクルの効果になります。

指標を分解して具体化させるのはKPIマネジメントの基本

この考え方は、なにもROICに限った話ではありません。様々な形で活用されており、KPIマネジメントの基本と言えます。

例えば、似た概念にマーケティングにおけるコンバージョンレシオ(転換率)があります。これも顧客獲得数の向上という最終目標を、成約数や問い合わせ数といった指数に要素分解していくことで、具体的な対策が明確となる点で、ROICツリーの活用方法と一致します。

つまりは、どちらのケースでも最上層に構えた大きな目標を、現場レベルでも分かりやすい要素に分解して、それら要素の改善に必要な具体的対策と紐づけることで、経営と現場をつなぐわけです。

経営側は経営目標を現場レベルに落とし込んで浸透させることができ、現場は自らの行動や工夫がどのような指標の改善を通して定量化され、最終的に企業価値の向上につながってるのか理解できます。

経営からのメッセージ、特に財務に関するメッセージは、なかなか現場まで具体的メッセージとして届きにくいことがあります。

そんな時は、ROICツリー、あるいは似たような概念の指標ツリーを使って、経営と現場をつなぐ工夫を取り入れてみてはどうでしょうか。

エクセルで財務諸表からROICツリーを作成する

これまでにも様々なエクセルテンプレートを作成している手前、ROICツリーについてもエクセルで簡単に作成できるツールを作成してみました。興味のある方はぜひ下記リンクを訪れていただけると幸いです。

他にも資産ポートフォリオ分析ツールや、各種ツール開発にも取り組んでいますので、少しでも気になれば下記リンクも訪れていただければと思います。



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