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「津山城天守閣再建構想」02:過去における天守閣再建の動向

2022年11月29日作成

前回の記事では、
 ・津山城の概要
 ・津山城見学(第1回)の様子
について報告しました。

今回は、過去における津山城の動向
 ・江戸時代:本丸御殿焼失・再建
 ・明治:廃城令・取り壊し
 ・昭和:再建・解体
 ・平成:様々な再建運動
について報告します。

1.江戸時代:本丸御殿焼失・再建

文化6年(1809年)正月20日、本丸御殿が焼失しました。
しかし、文化7年(1810年)には、本丸御殿を再建します。

2.明治:廃城令・取り壊し

慶応4年(1868年)、江戸幕府が崩壊し、天皇・朝廷を中心とする中央集権的な国家建設が始まります。
明治2年(1869年)、津山城主:松平慶倫(よしとも)は、版籍奉還を上表します。

2-1.廃城令

明治6年(1873年)1月に廃城令が出されました。
陸軍施設が置かれたわずかな城を除き、津山城を含む多くの城が廃城となり、大蔵省の所管となりました。

2-2.津山城取り壊し

明治5年(1872年)6月、当時の北条県から城郭売却の布告が出ましたが、入札する者はいませんでした。
明治6年(1873年)10月、再度城郭売却の布告が出され、11月に1,425円で落札されました。
明治7年(1874年)春~明治8年(1875年)3月にかけて、全ての建物が取り壊されました。

3.昭和:再建・解体

模擬天守が建てられましたが、解体されました。

3-1.1936年:姫新線全通記念産業振興大博覧会

1936年(昭和11年)姫新線全通記念産業振興大博覧会が、3月26日から5
月5日まで開催されました。
その際、本来の天守の3分の2の模擬天守が建てられました。

3-2.1945年:解体

しかし、1945年(昭和20年)博覧会模擬天守を空襲の目標にされるという危惧により、昭和20年8月に解体されました。

4.平成:様々な再建運動

ハード・ソフト両面での再建運動が成されます。

4-1.1994年:一夜城

Δ写真1.一夜城
(出所:津山瓦版)

平成6年(1994年)、一般社団法人津山青年会議所が。一夜城を制作しました。

4-2.2002年:備中櫓建築(着手)

Δ写真2.備中櫓

平成14年(2002年)、築城400年記念行事の一環として、備中櫓復元工事に着手しました。
平成17年(2005年)に完成しました。

下の動画は、(株)鴻池組が、復元工事を請負った「備中櫓」の紹介動画です。
1604年に築城を開始してから400年目の節目に、城内の櫓の中で最も大きいとされる備中櫓が復元されることになりました。
当時の絵図や明治の頃の写真等を参考に、3年間にわたる施工で忠実に復元されました。

Δ動画1.蘇る備中櫓
(出所:(株)鴻池組)

総工費は8億円であったといわれています。

4ー3.2004年:よみがえる津山城(再現CG編)

Δ動画2.よみがえる津山城(再現CG編)
(出所:TsuyamaCityPR)

平成16年(2004年)、津山城築城400年を記念して制作された映像です。
津山城の歴史や構造、津山初代藩主・森忠政公の足跡やゆかりの史跡などを再現CG映像を交えながら解説・紹介したものです。

4-4.2012年:天守外観を模した1/2規模の模擬施設を設置

Δ写真3.模擬天守閣
(出所:津山瓦版)

平成24年(2012年)11月19日、市長定例記者会見にて、美作国建国1300年記念事業として、津山城跡の天守台に発砲スチロールや合板などを使って模擬天守を造る事業が発表されました。

平成25年(2013年)、天守台に創建当時の天守外観を模した1/2規模の模擬施設を期間限定で設置されました。

4-5.2014年:よみがえれ! 津山城天守 [Android]

「よみがえれ! 津山城天守」は、CNS Inc.が配信する岡山県や倉敷の地域情報アプリです。
平成26年(2014年)7月23日、version1.0.1がリリースされました。

このアプリでは、失われた津山城の天守がスマートフォンのカメラを通して蘇ります。
城跡である鶴山公園の3カ所のポイントで、天守のあった方向を撮影しますと、失われた天守が現在の風景の中に再現されます。
天守と一緒に記念撮影することも可能です。

Δ図1.「よもがえれ!津山城天守」
(出所:人気アプリを探すならAPPLION)

下図は、このアプリで撮影した写真です。

図2.アプリで撮影した津山城
(出所:津山瓦版)

現在、このアプリは非公開になっている可能性があります。

5.まとめ

筆者が調査しただけでも、ハード・ソフト両面での津山城再建の試みは、7度行われています。
それだけ、津山城に対する津山市民の思いは、強いといえます。

天守閣を建てるといくらになるのか?
気になるところです。
木造で造るのが一番良いのでしょうが、それだと総工事費は巨額になります。
かといって、鉄骨造や鉄筋コンクリート造で造ると、総工事費は木造よりも抑えられますが、市民が納得しないかもしれません。

備中櫓は、木造で忠実に再現されました。
天守閣も木造で造らないと、収まりがつかないかもしれません。

ハードで進める前に、例えば今流行りのメタバースによる「バーチャル津山城」で再現してみるのもいいかもしれません!

次回の記事では、そのあたりを調査しようと思います。

6.参考・引用Webサイト

7.筆者プロフィール

筆者のプロフィールについては、下記の記事をご覧ください。

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