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COTEN RADIO「民主主義」編聴いたよ

人気のPodcast番組のCOTEN RAIO「民主主義の歴史」シリーズ全12回を聴きました。

まだ、通常には全編は公開されていないのですが、江草は課金してるcoten crewなのでアーリーアクセスで早々と全部聴けるのです。

すでに興奮のあまり江草はXではしゃいだポストを投げてしまってますが、このシリーズがとても良かったんですね。

常にクオリティが高いCOTEN RADIOの中でも特に神シリーズの感がありました。

「第一次世界大戦」みたいに特定の歴史的イベントに注目したりとか、「ヒトラー」みたいに特定の歴史上の人物に注目したりとか、そういう視点での歴史というのは自然とみんななんとなくは触れてるかと思います。

でも、こういう「民主主義」みたいな概念的な存在の歴史を紐解く機会ってあんまりないんですよね。普通に歴史を学んでるだけだと、次々と出てくる事件や人物の間に差し込まれてるだけのサブリミナル的な存在でしかなく、具体的に「結局民主主義ってなんなのか」というところまでは迫りにくい感触があります。

なので、COTEN RADIOが一般向けにこうやって「民主主義とは何か」をまとめる試みをされたのはとても貴重な活動だなと思います。(なお、書籍ジャンルでは宇野重規『民主主義とは何か』という新書が同様の試みをされており、オススメです)

大筋としては、古代ギリシャのアテネ民主政から、ローマ共和政などとの違いを紐解きつつ、社会契約説に政治理念としての民主主義の基盤を見ていくという、歴史の縦の流れを追う展開。

しかしそれだけでなく、イギリス・フランス・ドイツ・アメリカ・日本と現在では「民主主義国家」と一括りにされてしまいがちな国々も、それぞれ民主主義が浸透した歴史的経緯も違えば、実際の民主主義としてのシステムや態度も異なることを指摘されています。横の比較です。

だから、そうした縦横の視点で民主主義の歴史を絡め取ろうという野心的なまとめなんですね。これを12回でまとめ上げた取材力と構成力には脱帽です。これはとてつもなく大変なプロジェクトだったかと思われます。


書籍と違うPodcastとしての強みは、やはりトーク形式であることですね。書籍はやっぱり著者一人のモノローグとしてリニアに展開しがちですが、トークであると、話してる途中で素朴な疑問などが自然と差し込まれてきます。COTEN RADIOだとおおよそ樋口さんが「ちょっと聞いていいですか?」みたいに素朴な疑問を投げかける役回りですね。で、そこで補足説明をしたり、多少脱線したりしていく。この辺の会話のキャッチボールがあるのが、コンテンツとしての豊かさにもつながってますし、聞き手としてもすごく自然と身に染み込む感じがあります。

もちろん、書籍は書籍の良さもありますが、Podcastのトーク形式もやはり素晴らしいなと改めて思います。とくに今回のテーマが民主主義であっただけに「みんなで語り合う」という作業そのものの力を感じるのに、トーク形式はうってつけとも言えるかもしれません。


で、シリーズを通して言われていた「民主主義はシステムじゃなく、信念や信仰、なんなら宗教に近い」や「多数決や利害調整するだけが民主主義じゃない」というのはとても重要な指摘だと思います。

そもそも日本語では「主義」となっているのにも関わらず、民主主義が単なる政治システム(民主政)としてとらえられがちなのは、英語でで"democracy"の"-cracy"が支配体制を意味する接尾語であるせいかもしれないという噂はあります。(真偽は不明)

ともかくも民主主義はあくまで「主義」であって政治理念(イデオロギー)的な概念であることを確認されたのはやはり核心的なところであるかなと思います。(言うなれば"demoism"?)

現実として、それを完璧に実践するのは難しいのですが、でもそういう方向性を目指そうよというビジョン。それが民主主義なんですよね。だって「主義」ですから。江草はわりと民主主義イデオロギーに染まってると自負してるので、この感覚はとてもしっくり来ています。

その上で、COTEN RADIOでは最後に民主主義の実践においていかに難しい課題があるかもきっちり列挙して押さえられていて、民主主義の夢と現実をどちらも見据える、とてもバランスが取れた良い構成であったと思います。さすがの仕事です。

大変面白かったので、こうして興奮して感想文を書き記してます(笑)


で、最後の最後で深井さんがおっしゃってた「民主主義を保つには皆が批判を恐れずに自由に発言できるようにしないといけない」というコメント。甚だ同感です。

なので、ぜひまた、まさにその論点が出てくるミルの自由論などを織り交ぜた「自由主義」シリーズをお待ちしています。

すでにCOTEN RADIOでは「資本主義」「民主主義」をやったわけですから、自由民主主義社会三兄弟のラスボスである「自由主義」も外せないはずです。

絶対面白いと思うので、是非ともお願いします。

首をながーーーくしてお待ちしてます。



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