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呼び合う石。

2019年4月の新作としてお出ししたピンクパープルのラブラドライトブレスレット。リリースしてすぐにお求め頂いたこととそれが男性だったことがとても印象的で心に残っていました。

玉屋物の価格帯からある程度の「購買層」というのは結果論的にあるでしょうが、玉屋のアイテムをいわゆる「ターゲット層」を想定して製作することはありません。デザインとしては基本的にはユニセックスだと思うので実際ご自身で身につけるためにお求めくださる男性も沢山いらっしゃいます。

こんなに綺麗なピンクパープルのラブラドライトが手に入ったのが初めてだったこともあって思い出深い製作工程でもありました。

先日の玉屋えゐち拾壱周年祭では多くの皆様にお越しいただき玉屋物をお求めいただいたのですが、その中にこのピンクパープルのラブラドライトをお求め頂いた方から再びご注文を頂戴したのです。

玉屋えゐちの「custom made」という、石をお選びいただき、使用するメタルパーツの色やワックスコードの色をお選びいただき、ネックレスかブレスレットにお作りするセミオーダーアイテムとしてお出ししたレインボーラブラドライト。ご注文時の備考欄にはこんな記載が。

「ピンクパープルラブラドライトのブレスレットは以前に私が購入して彼女へのプレゼントにしました。とても喜んでくれました。…(今回のラブラドライトは)男性が着けても違和感ないようにデザインしてくだされば、と思います。」

このご希望を拝見し「ああこのラブラドライトは間違いなくこの方の石だったんだ。」と身体の奥が震えるような感覚を伴って強く思ったのです。なぜなら

この二つの石は2017年7月22日に出向いた鉱物展で同じお店で手に入れた石たちだったから。

先にお届けしているピンクパープルラブラドライトのデザインと、男性が身につけることをより強く意識しながら、ご希望のボタンタイプの留め部にしてブレスレットをお創りしました。

製作に先立ち、完成してお届けした後にこのエピソードを是非紹介させていただけないかとお願いしたところご快諾いただき、併せて、綺麗な石を見るのが好きで興味もあったけれど特に石についてお詳しかったわけではなかったこと、今の彼女さんとお付き合いするようになってから彼女さんも石好きということを知って一緒に初めてミネラルショーに行った際にホワイトラブラドライトを贈りあったとのことなどをお知らせくださいました。

「その当時は石の知識もダイヤ、サファイアなど有名な物しか知らず、ラブラドライトという石を初めて知りとても綺麗で不思議な石だなと感じたものです。それから5年経ちましたが今でも大事に身に付けています。」

そんなお二人の大切な思い出の石となっているラブラドライトのアクセサリーを玉屋えゐちが担えた光栄。

「ブレスレット受け取りました。多色性のラブラドライトがとても幻想的で素敵で魅入ってしまいました。... 格好よくて台紙から外すのをためらってしまうほどでした。大事に身に付けたいと思います。ピンクラブラドライトと対になる感じに作って頂きとても嬉しく感じました。

最近は仕事が忙しく中々一緒に出掛ける機会がとれないのですが二人でブレスレットを付け共に過ごす日を大切にしたいと思います。
本当に有難うございました。」

玉屋サイトにリリースした日も違えば、一つは完成品でもう一つは裸石で掲載し、ラブラドライト好きの私によって他にもラブラドライトの玉屋物がいくつか並んでいても引き合うように同じ場所に届けられた二つのラブラドライト。

私が玉屋えゐちを始めるときに何気なく思いついた「あなたの石、お預かりしています。」というコピーは単にコピーということではなく、もしかしたら私が玉屋えゐちを営む上で一つの使命のようなものなのかもしれません。

サポートいただけましたら玉屋物の素材の購入など作家活動に使わせていただきます。 玉屋えゐち http://ewichi.ocnk.net/