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なぜ関数を触るの?

昔からExcelファイルの悩みどころの一つにせっかく作った自動計算シートが第三者に勝手に改変され、意味を無くしてしまうことがあります。たまにツィッターなどでも盛り上がっているようです。

実際、作成した側としては「せっかくラクに正確にできるようにしたのに。」という思いを抱いてしまうのは私個人も感じることがありました。

でも改変する側の気持ちを考えたことがないなと思い立ち、今回考察してみることにしました。

改変事由

まずは叩き台としていくつかの考えられる理由を書き出してみましょう。

  1. シートの操作方法がよくわからない

  2. 権限のない者が作成した(と思われている)

  3. シートを信用していない

  4. 時間的余裕がない

上記4つの詳細を詰めていきましょう。

1.シートの操作方法がよくわからない

ExcelではアプリのUIのように閲覧専用と編集専用のパーツに分けるのが難しい側面があります。ロックすることで編集範囲を狭めることは可能ですが、表を直接編集する機会が多いものやマクロを組んでいないものでは機能が著しく制限される為、ロックは完全な答えには成りえません。

入力用や関数を組んでいるセルの色を変えたり、ヒントを表示したりすることで操作導線を示す場合も多いですが、すべてをセルで表現する形式の為に入力用セルとフォーカスの当たっているセルが判りづらい点とフォーカスの当たっているセルはキーボードを少し触っただけでセル内容が上書きされる仕様の為に不慣れな人は知らずに改変することは避けられないともいえます。

更にマクロを使用している場合はリドゥアンドゥがリセットされるので改変後に元に戻す術も絶たれます。

この問題点は決してExcelの操作を覚える事ではなく、作成したシートの操作方法を覚える事が肝要に思えます。付きっきりで教えることができればそれが理想ですが基本的には間違えてもシートの操作者が任意でやり直せる環境が必要だと考えます。

2.権限のない者が作成した(と思われている)

越権行為は論外ですが、シートの作成者に対して権限が無いと思われている者から感情論的に拒否される場合もあるかと思います。

この縄張り意識的なものは上位の者に仲裁を頼むか権限があると理解してもらうまで待つ以外に方法は無いように思えます。

3.シートを信用していない

ネストの深い関数などで作り込まれたシートは作成者ですら、時間を置くと全容の理解がすぐにできなかったりする場合があるくらいですから、急に操作方法を教えられたシートを使えと言われても責任の所在が不明のままでは不信を持つことは当たり前ですし、責任感のある人は特に積極的に利用してくれないのは仕方のないことのように思えます。

さらにExcelシートはデバックが甘いという傾向がある為に操作中に予期しない挙動をすることで更に不信を買うことになり、結果的に誰も使用しないか操作者にストレスを与えることに成りかねません。

信用問題に関しては操作者も抱きかかえてシート開発をすることが一番の近道になると思います。また自由に操作する機会を設ける事で自然と挙動を知り、不信感が薄まる方向に持っていくのも有りかと思います。

4.時間的余裕がない

納期や日々のノルマがあり、その時間的な余裕がない場合は自然と慣れ親しんだ方法を選んでしまうのは当然かもしれません。例えば関数を上書きして値を直打ち等は一番手っ取り早いのは間違い有りません。

これを避けるには操作者に時間的な余裕をつくるしか方法がありません。一般的に自動計算シートやマクロは作業時間短縮と確度向上の為に作られる場合が多いと思うので、時間的な余裕がある際に試してもらい、余裕ができることを実感してもらうのが適切のように思います。

解決案私論

様々な解決方法があるとは思いますが、シートのロックで対応できるならロックをする。難しいのであれば前述した1~4の理由毎に対応するか。共通しているシートへの操作回数を増やして操作者のシートへの理解度を増やす事が重要だと思います。

その際に確実に原状復帰できるようにExcelファイルのバックアップを取り、不具合が発生したらバックアップに切り替えるか。VBAでブックを開いたときに自動計算シートのコピーを取り、そのコピーのみを表示して操作してもらい、操作者がミスをした判断した場合はブックを閉じてもらい、閉じるときに操作したシートを削除して元のシートを表示するコードを組んでもいいと思います。

なぜ、閉じたときに原状復帰するマクロを組むのを提案するかといえば、分かりやすいからです。開いているブック上で原状復帰マクロを動かしてもいいですが、対象にしている不慣れな操作者では混乱と不信を呼びかねません。

「ミスったら閉じろ。」

これより分かりやすい説明はないでしょうしね。

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