【8914】エリアリンク 2020年12月期 決算分析

200万円ぽっちですが、自分にとってはポートフォリオの26%を占める主力銘柄のエリアリンク【8914】。2020年12月期通期決算の評価をしてゆきます。

資料

2020年12月期 決算説明資料

2020年12月期 決算短信

着目点1:ストックビジネスの成長◎

3Qに引き続き、強い伸び。3Q,4Qで大きな変化が発生。

3Qでは、ストレージ営利が1Q分4.5億級から6億級に急成長。
4Qでは、さらに7.5億級まで成長。
出典:2020年12月期 決算説明資料(p.43)

3Qでの要因分析を振り返ります。

・ キャンペーンの抑制を継続、値引率が改善
・ コンテナの買取、地代減額要請による原価低減
出典:2020年12月期 第3四半期 決算説明資料

4Qでの要因分析は以下の通り。

値引率コントロールによる売上増加、コンテナ買取や地代減額要請による原価低減が寄与
出典:2020年12月期 決算説明資料(p.11)

特に変化はなし。一過性でないことが重要です。

キャンペーン抑制は、今後も質を重視した展開をするならば継続でしょう、抑制下でも稼働室数は伸ばせている。

「地代値下げしてー」ぺら1枚、こんなの効果あるんだろうか、、、。主要因とは考えがたい。

コンテナ買取による営利率向上が一番の要因と見ます。これは確実に一過性要因ではない。今後も営利として乗り続ける。

総じて、一過性要因ではない増加。ストレージ運用というガチガチのストックビジネスの年間営利が、19億(=4Q*4.5~5億)」という前提から、30億(=4Q*7.5)に急成長。

これを裏付けるように、2021年12月期の業績見通しで、ストレージ運用の営利30億を発表。

ただし、出店を抑制して稼働率を上げての営利急成長なので、営利30億で踊り場となる可能性はありうる。とはいえ、これは22年12月期の課題。21年度の種まきをウオッチしながら考えよう。

着目点2:底地の在庫圧縮はギリギリ合格圏

僕は一貫してエリアリンクの底地の営業利益についてdisり続けてきました。

3Q時点でも

自分の予想では赤字になりながら底地をぶん投げてのドヤ顔ネガティブ報告を覚悟していた。
出典:エリアリンク 2020年12月期 第3四半期 決算分析|Evy

と書きましたが、4Q単体で(嬉しくない)的中。赤字0.2億、ほぼトントンに持ってきただけ御の字。

当初の営利16億の予定から、3Qで10億予定、結局4Q終わっての着地は8億台。

3Qでの予言を再掲します。

やっぱり「底地は営利7億がせいぜい」の評価は来期も変えない。今期3Q時点で営利9億でも変えない。
出典:エリアリンク 2020年12月期 第3四半期 決算分析|Evy

自分の見立てが的中して嬉しくないけど嬉しいです。しかも、21/12期は営利5億とのことで、予想の斜め下に向かう展開。

ま、そもそも底地ビジネスは水物。

減収減益予想も利益率改善・質の向上
出典:2020年12月期 決算説明資料(p.20)

「質の向上」という短いワードに込められた、林社長の強い決意を感じ取れました。今後は「うまくやれれば営利16億」ではなくて「しっかりと営利5億」ってことですよね。大賛成です。

着目点3:買戻損失引当金はネガティブサプライズなく消化

3Qに引き続き、何も問題なく消化しているように見えます。3Qで1/3解決、4Qで1/2まで解決したでしょうか。

買戻損失引当金については、以下に3Q時点でまとめています。

連続的な数値発表をしないことに違和感(嫌な予感)がありますが、見える範囲で状況を推定してみます。

3Q時点で、

コンテナ買取に伴う引当金の減少額:12億円
出典:2020年12月期 第3四半期 決算説明資料(p.10)

4Q時点では、

目的使用 (買取実施):12.8億円
出典:2020年12月期 決算説明資料(p.15)

「4Qの交渉は、ほとんどの案件が買取には至らなかった」ということになります。ただし「その他 (洗替)」という項目が突然増えていて5億あります。「長期未払金に勘定科目を洗い替えした」の意味でしょうか?だとすると買取分に等しい。誤解があるかも、ここは不明です。

逆に買取しないことになった案件は、3Q時点で、

買取しないことが確定したコンテナに対する買戻損失引当金の取崩し
引当金減少額:6億円
出典:2020年12月期 第3四半期 決算説明資料(p.10)

4Qで、

買取不要:11億円
出典:2020年12月期 決算説明資料(p.15)

5億円分。うーん、11億だと通期での買戻損失引当金戻入益14億と合わないんだけど、、、。ここの読み込みは課題です。

で、ざっくり3Qまでと同額程度の買取不要なので、3Q発表同様に、20億円分ぐらいの買戻予定物件が買い戻さなくなった、とイメージしてみる。

そして、3Qで概算した「買戻予定物件の残額」を、さらに4Qでも概算すると、

3Q時点での概算「買戻予定物件の残額」:78億円分
①「全体の1/3消化から1/2消化まで進んだ」というアプローチで概算すると、
4Q時点での概算「買戻予定物件の残額」:78*3/4≒ざっくり58億円分
②「20億円分が買い戻しせずに終わった」というアプローチで概算すると、
4Q時点での概算「買戻予定物件の残額」:78-20≒ざっくり58億円分

(21/03/02追記:①の式、間違ってました。結論は変化ないです。小学生レベルの計算!!!)

ざっくりと60億円分ぐらい残ってるんでしょうか?

そして、4Q時点で、まだ23億円分の買戻損失引当金があると。

まとめると

買戻予定物件の残額は60億円分ぐらいか?
交渉が長引いている案件は、結局買い取らずに終わっているのが多いようだ。となると、60億円分の内、買い戻すのは多くても3割20億ぐらいか?
残り23億円の買戻損失引当金の内、多くても3割7億ぐらいが買戻損失の可能性があるか?
16億円ぐらいは、そのまま「買戻損失引当金戻入益」として戻ってくるか?

で、もっとラフに一言で言うと、「経営を揺るがしうる問題ではなくなった」と判断します。

BSに記載され始めた「長期未払金24億」が、下記の割賦払の部分でしょうか。

買取は割賦払が基本方針のため、キャッシュ・フローには大きな影響なし
出典:2020年12月期 決算説明資料(p.15)

長期借入金と合算して、借金扱いで見てゆけば良いかと考えてます。キャッシュとのバランスを見る限り致命的ではないと判断します。(市場がエリアリンクを買わない最大のポイントがここかもしれない。不明)

想定シナリオとの比較

買った時の想定シナリオは以下の通りです。

何もサプライズが起きなければ、想定シナリオ通り。
具体的には
・買戻損失引当金50億の問題が、対して問題もなく収まってゆく。
・CFは、19/12期の形を継続できる。
・BSは、底地30〜40億に在庫改善。借金は、手持ち現金と同額程度。
・底地で、営利7億達成する。

CFは予想以上に買取があったので、若干外れてますが、概ね想定通りです。

ストレージ稼働室数の純増+5%程度を維持。

問題なし。

リスクシナリオとの比較

特にリスクシナリオにふれるような結果なし。

決算を受けての適正株価の修正

必要あり。別記事作ります。


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