【8914】エリアリンク 2021年12月期 第1四半期 決算分析

適正株価:1696 = 基準PER16*確約EPS106
実際株価:1107 【21/04/28】
割安率:35%

適正株価算出については以下記事

決算資料

2021年12月期 第1四半期 決算説明資料

2021年12月期 第1四半期 決算短信

着目点1:ストレージ運用の成長◎

前期3Q4Qに引き続き、強い伸び。たった3四半期で、ぐぐぐーん。

(数字は全て四半期単体営利)
2020年12月期開始、投資当初の前提:4.5億
2020年12月期 3Q:6億
2020年12月期 4Q:7.5億
2021年12月期 1Q:8.5億

以下記事で書いた、想定シナリオ(許容ライン)を楽々クリア。

ストレージ四半期営業利益7億程度
出典:自分の過去記事

要因は以下。

①出店活動停止(稼働率の低い物件の比率低下)
②既存物件の稼働率上昇
出典:2021年12月期 第1四半期 決算説明資料p.9

①の停止度合いが今回かなり強い。新規出店をこれほど止めた時は過去なかったのでは?出店関連のなんらかのコストが相当減った決算と留意すべきで、「四半期単体営利8.5億」が素の実力値と評価するのは過大と考える。

出店ペースの転換タイミングによっては、ストレージ運用営利の数字に凸凹が一度発生する覚悟をしておくべき。面倒なのが、一度でも数字が前四半期より落ちると「ストレージ曲がり角か」みたいな疑心暗鬼で株価が勝手に上下する。

人間は欲深いもので、ついこの間「ストレージ営利が四半期7.5億、年間30億!すばらしい!」とか言っていたのに、一度8.5億という数字を見てしまうと、7.5億に下がろうものなら罵声を浴びせるようになる。林社長から言わせりゃ「だから期初から年間で営利30億って言ってたでしょ!」と怒りたくなるところ。

今回は営利8.5億出ても、出店ペースや先行費用やスクラップ&ビルドの兼ね合いで営利は7.5億に戻ったりしながら、トップラインが成長するイメージでいるべき。が、株価はヒステリックに反応。うーん、難しい。


②の稼働率上昇は、①と同じ要因に聞こえるが微妙に違う。と考えています。

人により判断の別れるところですが、エリアリンクの腕前ではなく、単純に「最近ストレージというものを知った人」が、既存エリアに発生していて、既存の空きをじわじわと埋めているのでは?

実際、自分の周りでストレージサービスを知っている人少ない。「知ってて使わない」じゃなくて「知らない」。以下2013年当時の認知度。

最新の認知度の数値情報欲しいところですが、近年ぐっと上がってるのかも。

「テレワークで住宅のスペース需要が高まりストレージニーズ増」。私はこういう言葉編で定性的な論拠が苦手です。が、今回は、このような背景の中で、ストレージを認知した国民が増えているという仮説を採用してみます。

着目点2:ストレージ流動化の販売1件、受注2件

ストレージ流動化:販売1件・受注2件を計上
・ 3件ともに2019年に出店が決定した土地付きストレージ(内、ハロービズハウス1件)
出典:2021年12月期 第1四半期 決算説明資料p.9

収益認識基準、費用認識基準が不明ですが、セグメント売上の5億が1件分でしょうか?粗利ベースで黒字、営業利益ベースで赤字。赤字覚悟で売る必要はないでしょうから、受注2件の費用が発生主義で先行して1Qの費用に計上されているのでしょうか?明確にわかっておらず、自分の勉強不足。

受注があればやる。これはポジティブな人もいればネガティブな人もいそう。数字的には1Qだけではなんとも言えない。今後もウオッチ。

着目点3:底地ビジネスの利益率向上◎

売上8.3億、営利1.3億、利益率16%。
BSの販売用不動産は45億から42億に3億減少。決算説明資料では、在庫40億で3億減少との説明あり。
出典:2021年12月期 第1四半期 決算説明資料p.8,10

前四半期のように滞留在庫を投げ売っているだけでは、この利益率は出ませんから、まともな仕入れ物件を捌いた実績が乗っていると見ます。

①仕入れをしているのに、在庫を3億圧縮させた。
②つまり、既存の在庫(難物件)の出口が決まって売った。
③なのに、利益が出ている。
④つまり、セールスフォースを活用して利益の出せる物件を厳選して仕入た物件の利益貢献がでかい。仕入れて、すぐに売って、と回転できている。

底地、めっちゃいい流れじゃないですか!!!

さらに!1Qの利益率16%は、②の売上も混じっていると思いますので、今後④の売上が中心になれば、利益率に伸びしろがある。(ブレが大きなビジネスですが)

さらに!底地の仕入れは2021年12月期から本格化しているので、今後、売上規模の伸びしろがある。

底地ビジネスは、早々に枯れるビジネスではない。珍しい土地を探してやっているイメージでではなく、山林資源的にたっぷりあるイメージ。以下記事の”当社”は「サンセイランディック」だが、置かれている環境はエリアリンクも同じ。

旧借地法に基づく借地権は総務省の住宅・土地統計調査によると 2008 年 で 117 万世帯となっており、総世帯数 4,959 万世帯の 2.4%を占める。調査 は 5 年毎でデータがやや古いが、市場規模を推測するうえで目安になろう。 117 万世帯のうち主戦場の東京と神奈川は、それぞれ 18.9 万世帯、8.6 万世 帯の計 27.5 万世帯。当社が 11/12 期に借地権者に販売した底地は 382 区画 (分筆後)に過ぎない(仕入れは、想定販売区画数ベースで 396 区画)。底 地の販売価格が 1 世帯当り 1,000 万円とすると、東京、神奈川だけで底地事業の潜在的な市場規模は 2 兆 7,500 億円となる。今後、旧借地法に基づく借 地権、底地は新たには生まれないが、潜在的な市場規模は極めて大きく、市場の先細りを懸念するステージではない。
出典:堀部 吉胤|ベーシックレポート|ティー・アイ・ダヴリュ|2012

サンセイランディックは、がっつり底地の在庫を抱えて、長く権利者と交渉していくことを得意とするイメージだが、エリアリンクは出口と利益を見越して高回転で捌ける底地(手堅く利益実現が見込める底地)に的を絞っているイメージ。

だとすれば棲み分けもできるし、底地の市場はまだまだ鉱山としては掘り尽くしたには程遠い状態。

ストレージと底地、2本ある。素晴らしい。

今後じわじわと育つ期待は立った、とは言え、1Qは営利1億。自分のシナリオ「底地は年間営利4億」に変更なし。

その他

買戻損失引当金については、前期4Q時点で、投資判断上重要ではなくなったと考えていましたが、考え変わらず。買いとりゃ事業規模が大きくなるし、買い取らなきゃ戻益出て終わり。BSは、素直に良化していて手元現金に不安なし。ドーンと来い買取。

決算を受けての適正株価の修正

なし。めっちゃ良い決算でしたが、適正株価を変える変化ではない(想定シナリオが確信的になったのみ)。とはいえ、現時点の株価は1100円レベル、適正株価は1696円。とりあえず1500円ぐらいまでは余裕でホールド。

短期的な株価変動予想

これだけ好決算ですが、直後の数日間の株価は、荒れると予想。

覚えていますか?直近2つの四半期で、同じようにストレージ運用ビジネスがぐーんと成長して、ガッツポーズをしました。その決算直後の値動きは悲惨です。振り返ります。

2020年12月期 第3四半期 決算翌日

画像1

始値945、安値910、終値929。ええええ?

今回決算と同じような中身で、この値動き。つい半年前の話。

その後上がって胸を撫で下ろそうと思ったら年末にかけて下がる。ええええ?12月には20万株ぐらい減少の変更報告書が出る。

140万株(全体の11%)→120万株(10%)
概算平均売却価格 @940ぐらい
出典:変更報告書|カバウター・マネージメント・エルエルシー|2020年12月

おまえか売ってたのは。

2020年12月期 第4四半期 決算翌日

画像2

始値975、安値954、終値964。ええええ?

今回決算と同じような中身で、この値動き。つい3ヶ月前の話。

またしても、25万株ぐらい減少の変更報告書が出る。

120万株(全体の10%)→95万株(7%)
概算平均売却価格 @950〜1020ぐらいということになるか。6年保有して微損切りを始めたということ?
出典:変更報告書|カバウター・マネージメント・エルエルシー|2021年3月

またおまえか、売ってたのは。


前期の3Q4Qの決算は、私としては今回の1Q決算と同じ方向の決算だと判断しています。同じベクトルにどんどん進んで行っている決算3連続。で過去2連続で決算後は下げです。

今回の決算、好決算と判断していますが、4/30の寄り付きで買うのは怖いです。

なぜ売っているのか?

こういうギョーカイの常識がわからないので、完全な妄想です。カバウターの中の人の感覚。

・エリアリンクは伸びる?は?私にとってはPFの1%ぐらいのone of themデース。そんなことよりPFのバランスが大切デース
・不動産セクターのウェイト減らしたいんデース
・現金比率上げたいんデース
・決算直後って、こんな小型株でも流動性でるデショ?だから決算直後に売ってるんデース。そういうタイミングじゃなきゃ、100万株も売れないyo!

いや、ぜんっぜん知らんけど。そんな気持ちかなぁ。

変更報告書ついては以下記事も参考に。

投資判断

ホールド継続 2000株 @850

フル投資は継続。

短期的に20万株ほど売りがぶっ込まれても想定内なので、明日から短期的には変な値下がりをする覚悟でいく。値下がりは、ちょっと美味しいタイミングになるかもなので、もし発生したら出来高を見つつ、ちょっとトライしてみようかと。

【2021/4/30追記】

はい。見事に上記予想を外しました。決算翌日の反省会記事です。




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