【9639】三協フロンテア 適正株価算出

三協フロンテアを分析して、適正株価を算出してみます。株式投資のための自分用メモです。

適正株価:4180 = 基準PER11*確約EPS380
実際株価:3955【21/03/25】
割安率:5%

参考

https://www.buffett-code.com/company/9639/

2019年3月期 決算補足資料

2020年3月期 決算補足資料

2020年3月期 決算短信

2021年3月期 第2四半期 決算説明資料

2021年3月期 第3四半期 決算短信

1.ビジネスモデル

+2

+2の根拠は、超魅力的な商品だから。直感ストーリーでの投資。今回、業績(数字)の話がペラッペラに薄い。そういうストーリーで投資したという覚悟は毎回思い返すこと。


三協フロンテアの商品はとても魅力的。6年前頃に出会ってから不動の高評価。ロジックとしては下記の背景でニーズがあると見る。

・現在も今後も慢性的な課題となる職人不足
・建築物のモノ化(受け渡し&移動可能な物品化)のニーズ
・人口減少社会とリユース前提とのシナジー

、、、、が、本音ではロジックというより直感。

画像1

これからの地方の建築物って、ぜーーんぶコレで良くない?

ニトリで買い物してて感じる「もう、これでいいや」ってやつの建築版。一生使う我が家や港区の本社ビルならユニットハウスで納得できないけど、地方の事務所なら全部これで良くない?

下記が具体的事例。美容院、クラブハウス、事務所、、、。なんでもある。「社長!もうこれでよくないですか?」って訴えかけてくる。

地方だと、職人さんの単価がどんどん上がっていって、まともな建築は高い。人口縮小社会の地方で、根を下ろして建物に金かける意義がない。ユニットハウスなら手続きも納期も早い。リユース&リセールを考慮すればコストメリットもある。品質も安定する。なんなら環境問題でも軍配が上がる。

今後、よほどの目的がないと、地方でわざわざ建物を建てる意味ってなくない?


一般的に、三協フロンテアは「建築現場用の仮設ハウスを売っている会社」「建設景気超依存型」という目線だと思われるが、この商品は理屈抜きに強い。

では実績は伴っているか?セグメントの本設販売の推移を確認。

2017/03期:53億円
2018/03期:71億円(+34%)
2019/03期:79億円(+11%)
2020/03期:92億円(+16%)

売れてる。裏付けあり。

オリンピック景気が終わって建設現場用の仮設レンタルが落ち込んで、業績がとんでもなくなる、、、という文脈が三協フロンテアの株価を安くしていると思われるが、長期的目線では、その文脈以上にユニットハウスが成長する、に賭けます。

2.財務指標

+2
配当:3.0%
配当性向:29%
増配傾向:モバイルスペースが売れると共に5年増配。

3%超えで無理もしていない、理想的。

営業利益率:16% (13%程度から安定微増傾向)

PLの推移が、典型的に「うまく回っている会社」

一人当たり税引き前利益:7百万円
従業員数:1100人

数値良し。工場を持っているにしてはパーヘッド利益が高い。

BS。レンタル資産が3割。借金もそれなり。あまりワクワクするBSではない。

CF。17/03期以降、成長とともに良い形に。

PBR:1.2
過去平均PBR:1.0〜1.3
ネットD純利益比率:2

PBRは、BSの中身を考えれば、決して安いとは言い難いか。

安全高配当、パーヘッドよし、良化してきた利益率。+2。

3.競合優位性

+1

印象論ですが、他社のを見ても「仮設ハウス」「物置」の域を出ていない。三協フロンテアのモバイルスペースを見て感じるような「あ、建物全部これでいいや」レベルの突き抜けがない。

大手ナガワが対抗商品を出していて、これは流石に強い感触がある。

参入プレイヤーは今後もありそう、だが三協の先行感は素人でも感じられる。このバランスをとると+1。+0評価だと逆に自分のストーリーと矛盾してしまう。

4.業績安定性

+0

既存の売上の柱である、建築現場向けの仮設事務所は景気や繁閑の影響を受けやすい。ビジネス上不可避的に需要の上下がある商売だと理解。

、、ということになっているが業績上は何年も安定している。が、この評価点はシクリカル系銘柄の評価を下げるためのもの。生来の特性を重視して+0評価。

5.成長KPI

-1 CAGR-2%級

直近の成長実績と全然違う評価だが、マーケットは今後の業績悪化を織り込んでいて、シクリカル銘柄だし自分も納得。今後5年は悪化と回復期だという前提で評価とする。

6.成長期待

+1 CAGR2%級

KPI評価と逆のことを書くが、長期的な目線では期待大であり、蓋を開ければ、本設販売(モバイルスペース)の売上が押し上げ続けて、景気の変動と差し引きしても結局成長してしまっていると見る。ここが自分の三協フロンテアへの期待部分+1。

7.その他PER評

なし

8.基準PER

基準PER:11 = 6+2+2+1+0-1+1+0
過去平均PER:9〜11。

基準PER決定方法は以下記事

実際の業績事実と比較すると、安定性評価と成長評価がとても低い。これだけの保守的な基準PER評価をしても割安。

9.確約EPS

確約EPS:380 ざっくり概算パターン
営利計画未達:2/6
営利未達レベル最大:-7%

予想EPS423。このままのEPSを採用すると、適正株価が高くなりすぎる。つまり、マーケットは今後EPSが相当下がると見ているということ。

それについては同意するが、自分としては1割下がる程度じゃないのか?と楽観的に見ている【かなりの賭け部分】。

もっとニュアンスをクリアにすると「もう少し激烈に下がったとしても、それは最悪の年の一過性の話であって「シクリカルは中の下を確約と見る」の法則に当て嵌めれば、1割引きぐらいのEPSはまず確実に出せるでしょう(例外年は一年ぐらいあるけど)」というイメージ。

超ざっくりと、確約EPS=423*0.9≒380。

10.三協フロンテアの適正株価と割安率

適正株価:4180 = 基準PER11*確約EPS380
実際株価:3955【21/03/25】
割安率:5%

基準PER11という数字だけみると、ダメ企業に見えるが、向かい風になる手前のシクリカル銘柄への基準PERなので、個人的にはかなり魅力的な企業としての評価。「凡庸な企業を割安という根拠で買う」という失敗パターンとは違うと考えてGOサインを出したが、さて。

それにしても、基準PERも確約EPSも、かなり保守的評価にもかかわらず割安。

「不確実な不安」をマーケットは最も嫌う。が、蓋を開けて、それなりの悪化を現認できたら、むしろ保守的過ぎたことに気づいて買われる。

不安で売って、事実で買う。
最悪の事実を全員が現認した時が底。

と考えると、今が「見えない不安」の真っ最中なのでは?

もしくは、自分がイメージしている以上の激烈な不況がこの業界に来るということなのだろうか?

だとするとナガワの株価が説明つかないのだが、、、。

11.チャート

OK
週足MACD:AB33C7D2/
月足MACD:CD20A4/

週足MACDクロス前、オシレータ上昇確認。マイルール(=迷信)適合。

12.投資判断

買い 200株 @3935

3年ぐらいぶり、3回目のエントリー。

過去2回とも「シクリカルだとしても安すぎる」という判断で買って、ある程度儲けて、向かい風の前に怖くて売ってしまっている。月足長期チャートを見れば右肩。6年握って寝てれば良かった。

本当に業績悪化が来るんだろうか?とすら思えてくる。

13.想定シナリオ

業績の悪化があったとしても、結局営利-1割ぐらいの停滞に留まる。悪化時の最悪の1年はEPS300〜340程度だが、翌年程度に早々にEPS380程度まで回復する。これを自分の中の許容範囲レベルとする。

セグメントとして本設販売は伸びていく。モバイルスペース系のユニットハウスが日本の地方に乱立して、カンブリア宮殿か日経ビジネスか夕方6時のニュースで特集される。

14.リスクシナリオ

建設現場の仮設ハウスの需要が減って、利益半減級になる。

本設販売が落ち込んでゆく。一過性のブーム的なもので本質的ニーズはなかった。

メモ

ぱぱっと勝手に株価が上がったら、向かい風の前に売るかもしれない。ベストタイミングは最悪の業績を出して全員が見限った時、そこで買いたい。

今回は、割安率もチャート判断もGOサインが出てしまったので、自分がイメージしているベストタイミングの手前だが、ルールに基づいて買い。

もう一つ、自分の買いを後押しするメモ。

僕が絶対の信頼をよせている、中小型割安株のプロ、苦瓜達郎氏がPF10位に入れている。自分の感覚がめちゃくちゃ間違っているわけではないはず。

大和住銀日本小型株ファンド|月次レポート|2021年1月

、、、、2月のレポートで外れているけど、単に他が値上がっただけだよね。。。




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