マガジンのカバー画像

批評

22
批評全般(美術・音楽・社会など)
運営しているクリエイター

記事一覧

地味=正直な音楽から<べつの時間=歴史>を立ち上げる:岡田拓郎『Morning Sun』 論…

はじめに 岡田拓郎は地味である。 初回の論考で、私は岡田拓郎のことを「地味」という言葉…

shogo
4か月前

プロセスに巻き込まれるということ:幸田千依「今、絵のまえで会いましょう」のな…

2023年7月15日まで、東京・代官山のLOKO GALLERYで開催されている画家・幸田千依の公開制…

shogo
9か月前
8

「労働」という欲望の適切な保存にむけて:石川祐太郎×Josh Kline “クロスレビュー…

※本来、「クロスレビュー」とは複数の人間があるひとつの物事に対して評価を下すことを指すが…

shogo
11か月前
9

岡田拓郎論(5):日本語を地味に切断するーーあらゆる身体の偶然性をめぐってーー

岡田拓郎にとって「身体としての日本語」とはなにか。この文章ではこの問いについてさらに思考…

shogo
1年前
2

身体としての日本語を探し求める:ふたつの切断をめぐって(岡田拓郎 『Morning Sun』…

岡田拓郎がすべての曲の作詞と作曲を担当したアルバム『Morning Sun』では多くの曲を通して「…

shogo
1年前
3

先行批評の検討:岡田拓郎『Morning Sun』論(3)

さて『Morning Sun』というアルバムをじっくり聴いていこう。全8曲で構成されている2020年に発…

shogo
1年前
1

South Penguin「gadja (Takuro Okada Remix)」 から考える”ルーツミュージシャン"としての岡田拓郎:岡田拓郎『Morning Sun』論(2)

岡田拓郎の『Morning Sun』について書くまえに、「gadja (Takuro Okada Remix)」について考えてみたい。バンド South Penguinの曲「gadja feat. Dos Monos」を岡田がリミックスした本曲は、South Penguinのボーカル akatsuka の呻き声ともとれるボーカルと反復するビートが特徴的だ。あたかも akatsuka がこのビートの反復という檻から逃げ出したいという欲望が滲み出ている声。しかし、それと同時に彼の

【批評】 印象派=モノマネ芸人としての丹羽良徳:退屈なイデオロギーの退屈な模倣

アーティストの丹羽良徳の『水たまりAを水たまりBに移しかえる (2012)』では、その作品名が明…

shogo
1年前
3

イデオロギーとしてのペット

※注意:ペットを飼っている人(特に、後述するマルクス=エンゲルス的飼い主)が本稿を読むと…

shogo
5年前
1

「ボランティア」の内在的批判

 ボランティアは自主的な奉仕活動でもあれば無償の労働でもある。  まず、ボランティアを自…

shogo
5年前
1

運動としての批評

 流行っている美術展について、まじめな批評を書くことは、流行の内部からそれを壊していく運…

shogo
4年前
3

哲学的批評:サカナクション(1)

1  日本の音楽批評シーンはそんなにアツくない。とくに現代の音楽シーンでの批評は、その量が…

shogo
4年前
14

哲学的批評:サカナクション(2-1)

2 マジョリティとマイノリティ/表面と深層、マジョリティとマイノリティとの間をまたぐことは…

shogo
4年前
13

『ペルセポリス』試論: 言語の転覆を通じて歴史をパフォーマンスする

あけましておめでとうございます。今年は批評をやっていきたいので、今年最初も批評で。  『完全版ペルセポリス』、または『ペルセポリス』のなかで、著者マルジャン・サトラピはイラン人の女の子と若い女性としてイラン革命、抑圧的なイラン政権、そしてウィーンのフランス語学校での生活を経験したことを回顧する。『ペルセポリス』はグラフィック・ノベルという、説明とセリフがなかにある視覚的なコマで構成されている小説の形をとる。言い換えれば、グラフィック・ノベルは視覚的な言語と文字通りの言語を組