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【ゲーム】Return of the Obra Dinn/真の海の男たちを読み解く推理パズルゲーム

Return of the Obra Dinnがすごく面白かったので、ちゃんと紹介したい。

Return of the Obra Dinnはsteamで販売されたものだ。もともと良いゲームという話は聞いていたのと、プレイ動画ちょっと見たら面白そうだったので、移植を心待ちにしていた。今月にPS4、Xbox、Switchの各種据え置き機でDL専用ソフトとして遊べるようになったので、Switch版をDLし、思考するゲームが好きな旦那さんを誘って二人で遊んだ。

トレーラーはニンダイのものが短く分かりやすいので引用する。

【これまでのあらすじ】1807年、4年間行方不明だった商船オブラ・ディン号がイギリスの港へ無人で漂着した。プレイヤーは東インド会社の保険調査員として、損害査定のためオブラ・ディン号へ単身乗船する。その手には、ある男から預かった手記と懐中時計「メメント・モーテム」。死者の残留思念を観察し、手記を埋め、オブラ・ディン号に起こった悲劇を観測しよう。

思考、推察する推理パズル

オブラ・ディン号で人員の安否確認は、ある条件を組み合わせることで行う。「誰が」「なぜ」死んだのか。事故か、事件か。事件ならば「誰に殺されたか」最大で3点の条件だ。安否が確定すると、下の名簿と、手記の該当ページが埋まる。これを、全員分やっていく。

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▲船員名簿と、手記のページ。死体を発見するごとに、ページに幾つかの情報が書き込まれていく。手記は安否確認されたページをネタバレの関係で黒塗りにしたもの。手記の左ページは死んだ人、死亡に時聞こえた言葉の書き起こし。右ページは手記に書いてある通りだ。

ゲームを始めた時には、「これ60人分やるの?!」と思って途方もなさに参ってしまったが、一人決まると何人かの安否が特定できるケースもあり、特定難易度もピンキリなので、早い人は10時間しないでクリアできるらしい。

人物の安否は、死亡時の音声、手記に記載のスケッチと一致する外見の特徴、残留思念の見せる過去で見える風景をつぶさに見ることで特定できる。ひとつのシーンでは特定に至らず、別のシーンで名前を呼ばれたり、他の乗員との関係が把握できることで判明することもある。

観察し、特定に至る要素を当てはめ、人物の安否が確定していく様はアドベンチャーというよりもパズルに近いが、なんにせよ情報が多い。序盤で情報量を処理しきれなくなり、自分たちが使うメモを用意した。

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こんなかんじだ。あまり記憶力が良いほうではないので、ここまでしないと60人の安否特定には至らなかった。重要な手がかりの整理をしたり、疑問点、時系列ごとに起こったことを書き留めてある。オブラ・ディン号で何が起こったのかの考察にも大いに役立った。

全員を特定するのはだいぶ難しいので、考える系のゲームが好きならとてもお勧めです。あんまりのゴアはちょっと……という人でなければ楽しいはず。

それから、無理くり60人特定しなくても、あるタイミングで下船できるようになる(そこでエンディングが分岐する)ので、半分しか分かんなかったけど限界だ……! ってなっても一区切りできる親切な設計になっています。

雰囲気が最高

冒頭、調査の為船に乗り込んだ最初のシーンだ。銅版画が動くような情景にリアルな環境音が重なって、とてもツボにきく。静けさが不穏を膨らませていく。波の音、船に当たった波が砕けていく音。歩き出すと軋む床の音。自分以外の全てが死んだ船で、死体を求めて彷徨うゲームだと考えると最高の雰囲気です。怖い。

もちろん人が死ぬ音もリアルなので、ヒェッする箇所が結構あるし、メメント・モーテムの映像にも悲惨なものがある。そこを救うのがモノクロ銅版画風の画面だ。生々しいゴア表現が苦手なので、フルカラー映像だったら遊んでいないと思う。

UIも分かりやすいし、メメント・モーテムを開くときのジングルとか、何度も聞くことになる効果音も画面展開との音ハメが気持ち良く、ゲームを進める時のストレスはあまり感じなかったです。音楽もいいよ。弦楽器とたまに鐘の音を使った幻想的な感じで好き。

死を遡ることで浮かび上がる生き様

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メメント・モーテムで過去を遡る度、オブラ・ディン号で過ごす人たちの性格や関係性が見えてくる。

臆病な人、勤勉な人、勇敢な人……60人いる乗客乗員の在りし日の姿を遡ると、エモーションと想像力が揺さぶられる。何人かが見せる勇気は真の男と呼ぶにふさわしい。

一方で卑劣な人間はとことん卑劣で、「そら(そんな狼藉を働けば)そう(いう死に方する)よ……」と同情の余地なく「ハイ次」していくような人物もいる。船を舞台にした群像劇を追体験するような面白さだ。そういうの好きな人も関係性を考察して、乗員乗客の生きざまを見てほしい。

総評

論理パズル系が好き、ある程度ゴアへの耐性がある(サメ映画より生々しいゴアが苦手だとつらいかもしれない)、ゲームの世界について考察をしていくのが好き、という人には、2,000円ちょい払ってすぐやってくれ……っていうゲームです。長時間没頭して夜更かししてしまうこと請け合い。

人の考察が超聞きたいゲームなので、みんなもやってほしい。そんでふせったーとかで「わたしはこうやって特定しました」っていう推理メモとか、オブラ・ディン号での悲劇はこうだったのでは……? というやつをアップしてほしい。

【2020.06.15追記】自分のやつのリンク貼ってなかったので貼っておきます


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