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やせ我慢して笑うおじさんが好きなのでSIONもタカギ・ガンドーも好き

なんかいろんなテキストで言ってる(Twitterでは何度か言っている)んですが、SIONという今年59歳のシンガーがいて、その人がすごい好きなんですよ。大河ドラマ「龍馬伝」で、中村達也(元BLANKEY JET CITYのドラマー)と一緒に福山雅治演じる坂本龍馬の暗殺を遂行する人の役で出てたりしてたのでチラっと名前聞いたことはあるかな、って人もいるかもしれない。

▲これが最新(2017年)の公式SIONおじちゃんです。レコード会社がテイチクから変わって、テイチク時代以降の動画、公式で探せなくて。公式のやつ知っている人がいたら教えてください。

SION、しゃがれ声で、メロディーなのかリーディングなのか分からない感じの歌い方で……ジャンルなんだろうな、フォークっぽいロック……? で、わたしはSIONの、その枯れた声質がすごく好きです。金属ヤスリみたいな質感の時と、猫の舌めいて優しい時があり、優しい曲だと大きな手のひらでゆっくり背中を叩かれるような安心感がある。弱った人間に優しくて、酒が好きで、繁華街の雑踏を愛しているんだろう、というのが何となくわかる。あとTwitterに上げている猫がかわいい。

さて、SIONおじちゃんは、「12号室」みたいな少年が病院で出会った女の子との思い出を綴った曲も良いのですが、上記の「お前の空まで曇らせてたまるか」のような、「俺」が無茶を承知でひと頑張りする歌詞を結構書かれる。公式で閲覧できないので音源は貼らないんですけど、「燦燦と」とか「今さらヒーローになれやしないが」とか、わたしが軒並み好きなのはそういう、やせ我慢しながら立って、タフに笑っているおじさんの曲です。

こういうタフに笑うおじさん、ニンジャスレイヤーという小説にひとりいるんですよ。私立探偵のタカギ・ガンドーって言うんですけど。

ガンドーおじさんはハードボイルドヤク中おじさんで、でっかい体に少年のような正義感と闘志と大人のズルさを持っている。小柄でメガネの女性助手を連れて、住んでいる街の人を愛する男です。SIONおじちゃんの曲を聞いているとガンドーおじさんを思い出してしまうのだ……「燦燦と」は何遍聞いてもガンドーおじさんだよ。やせ我慢の果てにイライラしたりキレ散らかしたりするのは厳しいんですけど、やせ我慢して奥歯グッと噛んでも笑うような人は大好きで、SIONおじちゃんとガンドーおじさん、そういうところが似ていて同じ棚へしまっています(わたしの棚はフィクションと現実に区別をつけず保管しています)。

▲「通報されるくらいに」

励ますっていう感じの曲もあって、この「通報されるくらいに」はドラマの濱マイクの最終回でかかった時もめっちゃ興奮したんですけど、この曲、ちょっと気持ちが下降気味の時にアクセルを吹かす用途でキメるといい感じになるんで重宝する。探したらSpotifyにアルバムがあったので貼っておきます。

このアルバム収録の「あったかい影を連れて」、パートナーのために堅気になりたかったアウトローが作中で走馬灯見ているような場面でかけてほしいんですよね。「もう一回」に関してはリブート・レイブン(ガンドーおじさんのエピソード)のエンドロールで2曲目にかかってほしいんですよ。エンドロール、だいたい複数曲がかかるので2曲目のほう。あと、わりとちゃんとメロディーが存在してSIONお試しには非常に良い曲だと思うのでおすすめです。

それでは最後にお聞きください。夫を亡くした母親が息子に宛てた手紙っていうテイで書かれた歌詞に暖かいSIONおじちゃんの声が乗ると最高だし、聴くたびにボロボロ泣いちゃう名曲なんですけどインターネットミーム汚染の影響を受けてしまいました。「がんばれがんばれ」です。

ご清聴ありがとうございました。